2015年11月04日
トリーター:加登岡

「ミュー」我慢

シシャモをくわえている「ミュー」シシャモをくわえている「ミュー」

バンドウイルカの「ミュー」はとても食欲旺盛です。子育て中ということもあり、他のバンドウイルカと比べると給餌量が多いです。
「ルイ」が一日に 13.5kg食べているのに対し、「ミュー」は 18.5kg食べています。この量はオキゴンドウの「セーラー」と同じ量です。それだけ子育てにはエネルギーを使うのです。
これだけの量を食べていながら、他の個体の魚も食べようとします。
隣で給餌している娘の「ミル」がうまく魚をキャッチすることができなかったら、それを横取りします。
また、プール底に他の個体の魚が落ちているとわざわざ拾いに行ってしまいます。
トレーナーとしては魚を拾いに行かずに、トレーナーに集中してもらいたいものです。
そこで、「ミュー」に少し魚に対しての我慢ができるようにトレーニングを開始しました。
その方法が魚をくわえて、食べるのを我慢するというもの。
他の個体でも我慢できる個体がいるので、「ミュー」もできるはずとトレーニングを開始しました。

まず、小さい魚を口先に乗せました。もちろん「ミュー」は食べていいものだと、すぐに飲み込もうとします。
そこを飲み込ませないようにこちらも魚を渡しません。
これを繰り返していると「ミュー」も理解し始め、少しずつくわえられるようになりました。
くわえた後はその魚を一度返してもらい、もっとたくさんの魚を改めてご褒美として与えます。
しかし、「ミュー」も返したくない時があります。それは大きな魚をくわえた時。
小さい魚だと返してくれるのですが、大きい魚をくわえさせると、くわえたまま魚を返そうとしません。
魚を引っ張っても頑として離さないのです。
この魚は譲らないと目つきも気持ちきつくなります。
「ミュー」の好きなものがこれで分かったような気がします。

まだまだ長い時間くわえることはできませんが、いずれは魚をくわえたままプールを一周できればいいなと思っています。
運がよければトレーニングをしている姿を見られるかもしれませんので、ぜひ「ミュー」に会いに来てください。

イルカショースタジアム

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