2015年12月19日
トリーター:岩崎

キンメダイへの道は一日にして成らず

先日これからが旬の魚、キンメダイを求めて、湯河原の天恵丸さんにご協力いただき、シーズンが始まったばかりの初島沖へと向かいました。
初島沖のキンメダイ釣りは、資源保護のため、12月 1日解禁で、針の数や釣りができる時間などが細かく決められています。
まだ夜が明けない 5時 25分に、福浦港を出港、始めは穏やかな海況でしたが、沖に出ると一変、うねりが高く、風もかなり強く吹いていました。
メンバーは、今年の 2月にもキンメダイ採集で乗船した神応トリーター、戸倉トリーターそしてわたしの 3名です。
前回に続いてまたもや時化模様。
バタンバタンと大きなうねりをいくつも乗り越え、1時間ほどかけて初島沖のポイントに到着しました。
丹念に魚影を探し、慎重にポイントへと操船していただき、キンメダイがいる水深300m~ 400mに仕掛けを投入。
深場の釣りは、投入にも巻き上げにも時間がかかるので、そう何度もトライできるチャンスはありません。
荒れた海に船は揺られ、餌を付けたは風に飛ばされる過酷な条件の中、かなり粘っていただきましたが、残念ながら本命のキンメダイはかすりもせず。
この時期にしては海水温が非常に高く、海はまだまだ秋の終わりといった感じで、冬場のキンメダイシーズンには早かったようです。
キンメダイへの道は一日にして成らず・・・ですね。

日が高くなると、活性が良い時でも釣れなくなるので、キンメダイ釣りには見切りをつけて、クロムツとメダイを狙うことになりました。
クロムツは幼魚の頃は沿岸の浅い海で生活していますが、成長とともに深海へと生息場所を変えていきます。
鋭い歯がたくさん並んだ大きな口は、いかにも“深海の肉食魚”といった感じの迫力がある魚です。
クロムツは、煮付けにするとキンメダイよりおいしいとも言われている高級魚です。

メダイは干物などでよく見かけるイボダイの仲間で、“メダイ”といわれるだけに大きな眼が特徴です。
吻先が丸く突き出したおもしろい顔で、成長すると 1mにもなる大型の魚です。
メダイは、鍋ものにすると大変おいしい魚だといわれています。
どちらも魅力的な魚なので、採集を狙ってみたいと考えていました。
残り時間はわずかでしたが、幸い今回の釣りでは、水深 200m前後を攻めて、クロムツ数尾とメダイ 2尾を確保できました。


天恵丸さん、ありがとうございました!

クロムツは釣り上げると浮き袋が膨らんでしまうので、素早いガス抜き処置が必要です。
このガス抜きが非常に難しく、今回は1尾だけ生なんとかかして持ち帰ることができました。


メダイは、水深の上下運動を繰りかえして、餌を探す性質があるようで、水圧の変化に比較的強く、今回は 50㎝位の個体だったのですが、釣り上げられる最後まで、かなりのパワーでファイトする迫力満点の魚でした。

どちらの種も、採集と飼育には、まだまだ研究の余地がたくさんある魚です。
うまく展示できるか予断を許さない状況ですが、杉村トリーターと鈴木トリーターがトリートメントに奮闘中で、メダイとクロムツを、ぜひみなさんにご覧いただけるようにしたいとがんばっています。


キンメダイも再チャレンジを計画していますので、楽しみにお待ちください。

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