2016年02月05日
トリーター:伊藤

思い入れあるナマズ

ホグノーズブロキス ホグノーズブロキス

昨今はネコブームだそうですね。今年の 2月テーマ水槽には例年のバレンタインデーに、ネコ要素を加味してみました。隣の水槽コンテストに刺激を受けながら、といいたいところですが、いつもの自分流で展示を組み立てました。

魚で猫といえば「キャットフィッシュ」ことナマズです。小学生の頃、どうしてもナマズが飼いたくて、叔父たちに連日釣行をせがみ、連れて行ってもらいました。結局ナマズは釣れませんでしたけど。

今回ピックアップした種の多くは、いわゆる「定番種」「人気種」からちょっとずらしたつもりで、珍種とまではいかないものの、小粋なものを選びました。いくつか紹介します。

ホグノーズブロキス
今回「かわいい系」で登板させたナマズ界の人気者「コリドラス」とよく似た姿です。が、本種のサイズはふたまわりは大きく、頭でっかちが強調されたイノシシのような迫力も感じます。その違和感こそが最大の魅力です。


ウィップテールバンジョーキャットフィッシュ

ウィップテールバンジョーキャットフィッシュ
アンコウとウナギが合体したような姿をしています。世界中に数ある怪魚系ナマズ(パカモンやチャカチャカなど)の中で、形態的には本種が最も「怪魚」だと、ひそかに思っています。最大で 50cmほどになるのに性質が大人しいのもポイントです。


カンディル

カンディル
ピラニアを凌ぐアマゾンの人食い魚として知る人ぞ知る魚ですが、これをナマズだと知っている人は少ないかもしれません。本種は川に落ちた大型動物(ヒトも例外ではありません)の肉を食いちぎりながら体内に潜り込みます。素早く予測不能なトリッキーな動きがその不気味さに拍車をかけます。


ヨーロピアンキャットフィッシュ

ヨーロピアンキャットフィッシュ
ことヨーロッパオオナマズです。最大で 3mとも 5mともいわれる巨大種です。大きな池でバンバン食べさせたならば、あっという間に 1mを超えてしまうことでしょう。日本のナマズと同属で、姿が似ており、ナマズらしさを存分に堪能できます。
本種は、アリゲーターガーなどと共に特定外来種に追加指定される可能性があるそうです。まだ国内繁殖の事例はありませんが、巨大になり、寒さに強く、日本在来種への捕食圧が高いかも知れず、野良個体が各地で見つかっている現状から先手を打つ手堅い措置かと思う一方で、環境保全と飼育愛好の二足のわらじをはく私としては複雑です。仮に今から、日本中の動物業者がこれらの魚の安価販売を止め、全ての飼育者が「今後は絶対に生きたまま捨てない」ことを守ったとしても、もう止まらないかも知れません。博物館相当施設としては、展示をメインとしたさまざまな方法で、これらの魅力と問題を示していかなければと思っています。

テーマ水槽

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