2016年03月03日
トリーター:伊藤

キイロホソゴミムシ再登場

みなさまこんにちは。
内輪なお話で恐縮ですが、先月の「キャット&バレンタインデー」をもって、数年務めたテーマ水槽の担当を譲りました。
海にほぼ特化した当館の展示の中で、世界中のさまざまな生物を扱うことのできる場所であり、展示職人として大変楽しく担当できました。年に数回ずつ、20回以上担当した中でも特に思い出に残るのが、2006年 6月のカエル展と 2009年 5月の干潟展でしょうか。
前者からは展示に入魂することの大切さを学びましたし、後者はなんといってもアイツを初めて展示したことが熱いです。


キイロホソゴミムシ

名前に反し、日本それも関東地方の干潟環境だけに特産する生物地理上重要な昆虫です。一般にはなじみが薄いですが、貴重な環境になりつつある干潟を残す策を練る上で、今後はトビハゼやスナガニ類とともに知名度が高まるかと思われます。この度、幸運にも生体の再入手がかないましたので、思い切って“相模湾キッズ水槽”に展示しました。展示を通じて少しでも本種を知っていただくお手伝いをしたいと思っています。

さて本種、「小さい」「隠れる」「虫である」など、展示に不向きな要素満載で、これらをある程度クリアしつつの展示を試みています。
見やすさについては、探すのが難しかった場合に備えて標本を併設してフォローしました。生体は土くれの隙間や板切れの裏側にたたずんでいることが多いです。探して見てください。
虫が生理的にダメな方は残念ですが、だいぶ前から展示しているフナムシに比べれば全然「怖くない」はずです。かつては嫌われることの方が多かったクラゲの魅力を紹介し続け、人気動物の地位を築けたように、小さくマニアックだと思われている種の魅力発掘に勤しみ、新たな展示ジャンルを開けたらとも思っています。

今回は展示だけでなく、未だほとんど知られていない本種の行動や生態の一端だけでも明らかにしたいです。展示は短期間で終了させる可能性があります。日常生活の中ではまず出会えない生物です。興味がある方は是非ご覧ください。

◎関連日誌
2009/ 02/ 27 泥の海を訪ねて(1)

相模湾ゾーン

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