2016年03月26日
トリーター:戸倉

みなさまをお迎えする前に・・・

「出会いの海」水中「出会いの海」水中

水族館は、お客さまをお迎えする前にさまざまな準備をおこないます。その中で今日は相模湾大水槽の掃除を紹介いたします。当然、きれいな水槽をご覧いただくためにおこなうのですが、水槽が大きいためウエットスーツで潜って掃除をします。我々スタッフは「朝潜水」と呼んでいて、この作業は順番で、毎朝必ず誰かがおこなっており、今朝は私が当番でした。


ガラス面掃除

さあ、まずは「出会いの海」です。開館中は波が打ち付けている水槽ですが、掃除をする時は波が来ないようにしています。この水槽は、他の水槽に比べ少し水温が低いので、熱がりの私にとっては心地よく、入った瞬間に思わず“ヒャッホー”と水中で叫んでしまいます。ちなみに今朝の水温は 18.5℃でした。主におこなう作業はガラス面の掃除です。水族館のガラスは、アクリルガラスが主に使われており“厚みが増しても透明度が保てる”という利点があるため、このガラスの普及によって水槽を大型化することが出来るようになりました。しかし“傷が付きやすい”という欠点もあるため、掃除をする時は専用のスポンジを使います。


「じゃぶじゃぶ池」の仲間は興味津々

おっと危ない!ウツボを踏むところでした!

続いて、隣の魚たちがたくさんいる水槽に入ります。通称「じゃぶじゃぶ池」と呼んでいます。ここは私にとっては少し生ぬるく感じます。ちなみに今朝の水温は21.1℃でした。ここの仲間たちは非常に人なつこく、すぐに寄って来て水中マスクを覗きこんできます。そんな魚たちを気にしていると、足元が危ないことになっているので要注意です。
ここも同じようにガラス面の掃除をしますが、掃除をしていると・・・体のあちらこちらで誰かに触られます。先日 2月 25日に北嶋トリーターが日誌「痴魚??」で書いていた通り、コトヒキが太ももの周りを、キタマクラが膝下を、カワハギが腕のファスナーを・・それぞれ一斉に突いて来たり、身体を擦りつけて来たりします。


「コトヒキ」が太ももを・・・

「キタマクラ」がふくらはぎを・・・

さすがに一度にやられるとくすぐったいのですが、笑いをこらえながらガラス面を拭きます。ニヤニヤしながら掃除をしているので何か変な人になっていますが、開館前で誰もガラスの向こうにいないのでセーフです。
同じように隣の長いガラス面も掃除をし、今度は、水中に潜っての掃除となります。


潜水用具一式

丸窓に向かって・・

潜水用具はとてもシンプルで、エアーコンプレッサーから送られてきた空気のホースと、レギュレーターの付いたハーネスを背負って潜ります。BCジャケットなどは使いません。まずは丸窓の掃除からです。これは大水槽正面の真裏にある窓で、みなさんも不思議体験をしたことがあるのではないでしょうか? ここにはウツボたちが多く集まるので、少し掃除を慎重におこなわなければなりません。むやみに擦っていると、ウツボに空手チョップをしそうになったり、フィンで蹴飛ばしてしまいそうになったりするからです。ウツボはけっこう忍耐強く、手が当たってしまった時は「あっゴメン!」と水中でボコボコいって謝ります。


丸窓の前はウツボが沢山!!

マイワシの群れの上を通過して・・

丸窓の次は、いよいよ正面の大きなガラス面の掃除に移ります。移動の際は水槽の真ん中を縦断するので、マイワシたちの上を通過したり、時には群れの真ん中を突き進むこともあります。
このように掃除をしつつ、実は魚たちのようすもチェックしながら相模湾大水槽の中を隅々まで見て周ります。ドチザメやネコザメたちはどうかな? クエも元気かな? アカマツカサはいつもの所にいるかな??・・・などなど。
そして私が水槽から上がった頃、水族館がオープンします。
と、ここで作業は終わりでは無く、魚類チームのトリーターは、各担当の水槽があるので、この後担当水槽の掃除に移る場合があります。私の場合、大水槽の潜水掃除の後は「サンゴの水槽」「サメの水槽」と順番に潜ります。
きょうは、サメ水槽に潜った際に少し面白い写真が2枚撮れたので最後に紹介します。




場所的に少し暗い所なので、ブレてしまっていますが、水槽内から“サメ目線”でみなさんを見るとこんな感じでしょうか? もっともサメの視力や見える色などが人と違うでしょうから、これと同じように見えているとは限りませんが・・・(^^ゞ

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