2016年04月13日
トリーター:伊藤

悩ましき海藻

“岩礁水槽”“岩礁水槽”

当館には少ないながら植物の展示があります。相模湾ゾーンの「岩礁水槽」もその一つで、大型藻類を主役に据えた水槽です。
維持管理に手間がかかるうえ、育成面で未だに読めない面を多々残す曲者水槽ですが、開館当時から歴代担当者が丹精込めて維持発展させてきたこともあり、今ではいろいろな海藻が擬岩肌に「自生」してくるようにまでなりました。
最近では江の島ではレアなフクロツナギが繁茂したり、主役級の一つであるワカメが水槽内で多数自生してくるようになったりと、楽しみな兆しが見られます。

ここでふと、海藻の担当になったのに、ろくにその種類や生態に明るくないことに気づきまして、思い切って勉強しなおすことにしました。

藻類に詳しい大学時代の先輩(ここではAさんとします)をお招きし、「第一回“えのすい”海藻勉強会」を開催しました。
江の島を散策しながら、手当たり次第に生えている海藻を教わってまわったのですが、これが強敵! 難しい!
予め図鑑で予習していたものの、私の素人見立てはことごとくハズレ。
「これはツノマタですか?」
「残念!コメノリだよ」
「これってツノムカデですね?」
「いやハリガネでしょ」
みたいな感じで、ヒーヒーいいながら何とか 6~ 7割くらいは覚えられただろうか、という感じです。

海藻の一部(有用種除く)を持ち帰り、標本作成も手掛けています。
海藻はどんな標本にすると思いますか?
なんと押し葉なのです。
これは芸術重視とか一風変わった仕立て、というわけではなく、学術的にスタンダードなスタイルです。
押し葉にしてラベルを張ったA3サイズの紙で保管するのです。
海藻標本をつくるのは学生時代以来。再びAさんから手ほどきを受けながら、作っていきます。その後も空き時間を利用して作り進めていますが、なかなか楽しく、気が付くと数時間経過しており、足と腰がガクついて、手がふやけています。

今回、学びなおしたことを展示や調査に生かしていけたらと思っています。
Aさんありがとうございました(またお願いします)。

相模湾ゾーン

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