2016年11月24日
トリーター:北嶋

「しんかい2000」Q&A その 4

しんかい2000運航チームOBのメンバー(※)による、しんかい2000や深海に関するQ&Aその 4です。
それでは、どうぞ。


・航行中にはどのようなことに気をつかっていましたか?

・雑念を払い、神経を潜水船の潜航に集中していました。全長 10mの大きなしんかいの船体が自分の体の一部のような感覚になって操船していました。


・深海にはどうやったら行けますか?

・生物学的には水深 200m以深を深海といいます。したがって、ハードな訓練が必要ですが、飽和潜水と呼ばれる特殊な潜水方法で大掛かりな装置を使えば 300mまで自ら潜ることは可能です。
・一般の方には、200m以上行くことが出来る有人潜水船に乗ることしか、今は手は無いと思いますが、それも日本では今はしんかい6500しかなく、希望するみなさんが行けないことは問題ですね。


・耳はキーンってなりますか。

・潜水船のキャビンである耐圧殻内は常に大気圧、つまり地上と同じ条件なので圧力の変化はなく、耳がキーンとなることはありません。


・深海魚に会いたいのですが、大きくなったら会いに行けますか?
・どうしたらせんすいかんに乗れますか?

・今のしんかい6500のパイロットはすでに人数が足りているので、パイロットになるには、誰か欠員が出ないとなれません。そこで、一番確実な方法は、深海生物学者等の研究者になることと思います。うんと勉強して学者を目指してください。
・将来、200m以深まで行ける観光潜水船ができるといいのですが、あと少々卑怯な技ですが、大金持ちになって自分で潜水船を買っちゃいましょう!


・パイロットは何人くらいいますか?

・今のしんかい6500チーム員は 13名在籍しています。ただし、しんかい6500だけでなく、AUVうらしまも彼らが動かしています。


・しんかい2000を運転するときは前後左右をどのように確認しながら動かすのですか。
・もぐったらどうやってそうじゅうするのですか。

・後ろ、横は見えません。したがって、しんかい2000や6500は基本的には、後進(バック)はできません。前方で見つけた岩や崖が後方に移動し視界から消えても、今しんかい6500のどのあたりにあるかイメージしながら操縦します。また、小型船舶ではありますが、飛行機のように 3次元で動く潜水船は、前後左右だけでなく上方・下方の状態もイメージする必要があります。ただし、飛行機とは違い動きが遅いことから、判断には一呼吸考える余裕はあります。しんかい2000や6500の操縦には、見えない部分をどうイメージできるか?が一番大切なことです。


・1回の調査時間はどのくらい?

・ハッチ閉鎖時間は 9時間、潜航時間は海面~海面で 8時間です。

その 4はここまで。
深海に行ってみたい!パイロットになりたい!という声は毎回あがります。
行ってみたいですよね~。
この読者の中に、未来のパイロットや深海研究者がいて、ほんとうに潜る人になったらとても嬉しいです。
もし、大金持ちになって潜水船を買う!(もしくは買った!)という人がいましたら、ぜひ乗せて下さい!連絡を心よりお待ちしています。
Q&Aはその 5に続きます。お楽しみに。



バックナンバー
2016/ 08/ 07 「しんかい2000」Q&A その 1
2016/ 08/ 11 「しんかい2000」Q&A その 2
2016/ 08/ 28 「しんかい2000」Q&A その 3



※しんかい2000運航チーム
現在えのすいで展示中の「しんかい2000」が海で活躍していた頃より、「しんかい2000」を整備し、動かして、運航していたチームです。パイロットをはじめ、整備士や支援母船「なつしま」より司令などで後方支援するメンバーで構成されています。“えのすい”では 2012年の展示開始から現在まで、年 2回ペースでしんかい2000運航チームOBの協力のもと、公開整備をおこなっています。

深海Ⅱ-しんかい2000-

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