2017年03月30日
トリーター:杉村

メンダコ チャレンジ 2017 その 1

メンダコメンダコ

今年もメンダコチャレンジ 2017がようやく始まりました。
今年は、これまで 2月に 3度ほどチャレンジがあったのですが、採集時の状態が良くなかったのか・・・、数日の飼育に終わってしまいました。
・・・このまま、メンダコチャレンジ 2017ができずに終わってしまうかと・・・

そんなあきらめムードの中・・・ 24日より再びチャレンジのチャンスが訪れました。

今回は、状態が良かったため飼育開始から 7日が過ぎ、ついにチャレンジ日誌を始めたわけです。
大変お待たせしました。

メンダコチャレンジ 2017その 1では、メンダコたちがどこから水族館にやって来ているかを紹介します。
メンダコたちは、駿河湾の最奥部の湾からやって来ました。
駿河湾では 10月頃から今の時期にかけて、底曳き網漁が盛んにおこなわれ、深海のアイドルの「メンダコ」はこの底曳き網漁で採集されます。
内浦湾は、水深 200mほどの海底がなだらかなに続き、大きな駿河湾の中央近くに達するあたりで急に深くなる小さな奥湾です。

底曳き網漁は、この急に深くなるあたりに棲んでいる、アカザエビ(手長エビ)やヒカリチヒロエビ(縞エビ)などの深海エビを主に獲る漁です。
※ この時期の静岡県の沼津では深海エビや深海魚の食べられるシーズンですよ。
・・・まだ、食べられると思います・・・今の時期でも駿河湾では一部今しばらくは底曳き漁が行われていますから。たぶん大丈夫。

メンダコもちょうどこのエビたちと同じような場所にいるため、一緒に網に入ります。
エビの体には鋭い棘や長い脚があるので、エビとメンダコが触れると柔らかくてプルプルの体にたくさんの傷がついてしまうので、無傷の状態で採集することが非常に難しいのです。
私たちトリーターは、船の上で少しでも状態の良いメンダコをいち早く探して、そしてダメージを極力減らすようにケアをして水族館へ運び込みます。
・・・メンダコが入った網が上がると、独特の何ともいえない臭いがします・・・
この船の上での状態が、水族館でのその後の飼育に影響を与えるようです。

現在は、深海Ⅰの薄暗い水槽の中であまり動かずじっとしています・・・この方がメンダコにとっては普通のようですね。
それでもじっと見ていると、ホントにゆっくりゆっくり歩いたりして行動しているんですよ・・・。

さて、今年のメンダコチャレンジ 2017はどうでしょうか?
一見すると状態は良さそうですが、メンダコにはまだまだ謎の部分も多いので私にも良く分かりません。
この春休みの間、1日でも長くみなさんに“愛らしいメンダコ”を見ていただけるよう飼育をしていきたいと思います。
砂の中に半分埋まるようにしていますから、よ~く目を凝らして水槽の中を探してみてくださいね。

※ メンダコは非常に光に敏感ですので、ピント合わせの赤い光やフラッシュを使用して撮影はご遠慮ください。どうぞご協力お願いいたします。


一緒に採集されるエビたち

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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