2017年07月30日
トリーター:加登岡

かいかい

ミナミアメリカオットセイ「アポロ」ミナミアメリカオットセイ「アポロ」

ミナミアメリカオットセイの「アポロ」が新しい種目ができるようになりました。
それは後肢で体を掻くことです。
これ、実は僕、ほとんど何も教えていません。
というのも、「アポロ」が普段やっていたことを褒めていたら、できるようになったのです。
トレーニングの方法には道具などを使いながら、動物を誘導して種目を作る場合や、動物同士で真似をしてできるようになる方法、動物が自発的に行ったことを褒めて種目にする方法などがあります。
今回は最後の方法で作りました。
「アポロ」は日ごろからトレーニングが終わった後に、体をこすったり体を掻いたりしていました。
そこで、体を掻く姿がかわいいなと思った僕は、「アポロ」が体を掻き始めたら即座に褒めました。
「アポロ」も始めは何が何だかわからなかったと思います。
というのも自由な時間に体が痒くて掻いていたら、急に褒めてもらえたからです。

このトレーニング方法、実は根気がいります。なぜならいつ体を掻くかわからないからです。
そのため、ひたすら待つ必要があります。
しかし、ショーや他の動物のトレーニングもあるため、ずっと「アポロ」を見ているわけにはいきません。
たまたま「アポロ」の部屋の前を通った時に、体を掻いていたら褒めるようにするしかありませんでした。
この、たまたまが積み重なり、体を掻いている時に褒めることを繰り返していたら、「アポロ」もだんだんと「体を掻いていると魚がもらえる」と理解し始めました。
一度理解すると、ひたすらアピールしてきます。
「アポロ」と眼が合うたびに、体を掻き始めます。
ここまで来ると、次は合図をつける必要があります。
合図があれば、合図を出したときにだけするようになります。
合図がないと、「アポロ」は他のトレーニング中に混乱すると、とりあえず体を掻いていれば褒めてもらえるだろうとなってしまうからです。
合図をつける方法は、「アポロ」が体を掻いている時に、こちらが合図を出すようにします。
これを繰り返すと、こちらの合図と体を掻くということが結びついて、合図を出したら体を掻くようになるのです。
合図付けは比較的早くできました。

見た目地味ですが、かわいらしいこの体を掻く種目をみなさまに見てもらえるように、ショーに出る練習もしています。
一昨日から部屋も引越しして、屋内の部屋から屋外の部屋へ移動になりました。
これでもう少しみなさんの目に触れる機会も多くなるはずです。
「アポロ」の登場を楽しみに待っていてください。

イルカショースタジアム

RSS