2017年10月12日
トリーター:加登岡

横キック

バンドウイルカ「マリン」バンドウイルカ「マリン」

10月に入って気温が下がったかと思いきやまた暑くなり、気温が安定しない日々が続いていますね。毎日着ていく洋服に迷う日々です。
暑い日にはイルカたちと一緒にお客さまに水しぶきをかけていましたが、段々とそれも減ってくる時期(たぶん)です。個人的に水をかけるのが好きなので寂しい季節になってしまいますが、マリンとまたもや水しぶきを上げる練習を始めています。前回はジャンプで水しぶきをあげる種目でしたが、今度は尾びれを使って水しぶきをあげる予定です。マリンが横向きに泳ぎながら途中で尾びれを強く煽って水をかける種目です。

トレーニングはボールを蹴らせる方法でおこなっています。ボールを蹴る勢いで水も一緒に飛ばすのです。始めはボールを尾びれにこちらから当てて、尾びれでボールに触れることを理解させます。
マリンはこの過程はすぐに理解しました。というのも違う種目でボールを蹴ることはトレーニング済みだったのです。つまり「マリン」は思い出しただけ。

ただここで一つ問題が。今回、私は「マリン」の姿勢が横向き姿勢になって、横向き姿勢のままボールを蹴って欲しかったのですが、以前サマーソルト(後方宙返り)のジャンプのトレーニングでお腹を上にした姿勢で上にボールを蹴り上げる方法をしていたため、ボールを見せただけでお腹を上にしてしまいました。
器用なもので、横向き姿勢からぎりぎりでボールを見せても、クルッと反転してお腹を上にして蹴ろうとします。さらにいうと一年以上ボールを使ったトレーニングをしていないのに覚えていることにも驚きです。「マリン」の賢い部分があだとなってしまいました。

そのためボールを使わずに棒を使うことにしました。棒を横向き姿勢のまま尾びれで触れれば良いことを学習させました。
物が変わると「マリン」も新しいことをやっていることを理解したようで、横向きのまま棒を蹴ろうとしてくれました。しかし、棒を蹴ろうとはしているのですが、蹴りづらいらしく、あまり勢いが出ません。

そこでもう一度ボールに戻すことに。さすが「マリン」といえるのは、一度棒で横向きで蹴ることを理解しているので、ボールを見せたらお腹を上にすることなく、横向きのまま蹴ってくれました。今回は物が変わってもやることはそのままと考えてくれたみたいです。私の思っていることをくんでくれてありがとうとその時思いました。「マリン」の凄い所です。そしてボールに変えると蹴りやすいのか勢い良く蹴ってくれました。

目的の水しぶきも少しずつ上がるようになってきています。最終的にはボールも見せずに、合図だけで尾鰭を煽るようにします。まだトレーニングには時間がかかりそうですが、暑い季節に向けて今から練習です。
ちなみにこの種目、実は実習生が考えてくれた種目なのです。当館の実習プログラムでイルカ部門では実習生に種目を考えてもらい、その種目が完成するまでを発表してもらいます。
それを何か活かせないかとトレーニングに取り組みました。少しトレーニング内容が異なる所がありますが、これが形になればいいなと思っています。


使用している道具 左が棒 右がボール






ボールを蹴るトレーニング

イルカショースタジアム

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