2018年05月03日
トリーター:山本

江の島の謎クラゲ?

謎クラゲ?謎クラゲ?

みなさん初めまして! 新人トリーターの山本です!
クラゲ担当になり早 1か月が経ちましたが、毎日新しい発見ばかりです!
これからみなさんに、クラゲたちの魅力をどんどんお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、きょうは、私が採集したあるクラゲをご紹介しましょう。
私たちトリーターは、時間があれば江の島でいろいろな生き物を採集しに行くのですが、私が 5月 1日に採集をした時に不思議なクラゲが採れました。
大きさは、傘高(クラゲの傘の高さ)が1センチほどで、パッと見は冬から春にかけてよく出現するウラシマクラゲ(後で写真付きでご紹介します)のように見えます。
江の島の磯で見つけた時は「ウラシマクラゲだ!」と思っておりましたが、クラゲ生産室に持ち帰ってよーく見てみると違和感が・・・
そこで、顕微鏡を使って観察してみることにしました。

生き物の種類を調べて決めることを「種同定(しゅどうてい)」といいます。
私たちクラゲのトリーターは、江の島に出現するクラゲならだいたいパッと見れば種類が分かるのですが、このクラゲ(以下謎クラゲとしましょう)は見当もつきません。
こんなときは、顕微鏡を使って「眼点(光を感じる所)があるかどうか」や「触手はどんな形をしているか」などを詳しく観察し、似ているクラゲと比較したり、図鑑や論文を使ったりして種同定をするんです。
さあ、まずは謎クラゲの観察です。

顕微鏡で全体を見ると上の写真。

顕微鏡の倍率を変えたりしながら、よーく観察します。


触手は 4本。どうやら眼点(触手のつけ根にある黒い点です)があるみたいですね。
この眼点があるかないかは、クラゲの種同定をする際に、大きなポイントなんです。
この謎クラゲは、「ウラシマクラゲ」や「オオタマウミヒドラ」に似ているため、今回はそれらと比較をしてみました。
まずは「ウラシマクラゲ」との比較です。


ウラシマクラゲは、傘高が最大で 3センチほどになります。今回は、謎クラゲと比較をするために同じくらいの大きさ( 1センチほど)のものを観察しました。


ウラシマクラゲは、ちょっと見え辛いですが眼点があり、触手にはマチ針のようなものがたくさんついています。また、傘の表面に筋のようなもの(「外傘刺胞列」といいます)があるのも特徴です。謎クラゲは、眼点はあるものの、触手の形が違いますし、外傘刺胞列もありません。
どうやらウラシマクラゲではないようですね・・・

次は「オオタマウミヒドラ」との比較です。


こちらがオオタマウミヒドラです。
大きさは、傘高が最大でも 3ミリほどの小さなクラゲです。
謎クラゲとはそもそも大きさが全然違いますが、形は似ています。


オオタマウミヒドラは、眼点を持ちます。また、触手も謎クラゲと似ていますね。
しかし、オオタマウミヒドラには傘の表面につぶつぶ(「外傘刺胞」といいます)がたくさんあるのが特徴なのですが、謎クラゲにはありません。
うーん・・・ ウラシマクラゲよりは似てるけど、オオタマウヒドラともいえなさそうですね。


左:ウラシマクラゲ 真ん中:謎のクラゲ 右:オオタマウミヒドラ

並べてみると、こんな感じです。

その後、図鑑や論文を使って探しても、結局このクラゲが何クラゲなのかは、分からないまま・・・
もしかしたら新種かも??
まだまだ詳しく調べなくてはなりません。正体が判明したらまたご報告しますね!

普段から通っている江の島でも、まだまだ分からないことや新しい発見ばかりです。
江の島に出現するクラゲのことは何でも答えられるように、これからもっともっと勉強しようと思います。
また面白いクラゲが採集出来たらご報告をしますので、楽しみに待っていてください!
そして、もしみなさんが面白いクラゲを見つけたら、ぜひ私たちトリーターに見せに来てくださいね!

クラゲサイエンス

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