2018年07月05日
トリーター:伊藤

川の貝の話題

みなさまこんにちは。
テーマ水槽がひと段落し( 6月の担当でした)、一息ついています。
今回は私がライフワークにしている、淡水の貝について、マニアックな近況を書いてみます。

その1. 浮かぶ貝
「今上陛下のご研究」の水槽に、小さな貝がたくさん増えています。詳しい種類は自信がないのですが、タイワンカワニナだと思われます。繁殖力が強く、環境がマッチしたこともあるのか、爆発的に増えています。うじゃうじゃいます。
興味深いことに彼ら、水面を歩きます。
この行動は、同じ巻貝のサカマキガイなどで「水面を逆さまに歩く珍行動」として知られているのですが、本種もおこなうことに気づいたのです。特に当直時の深夜見回りの際、顕著な気がします。
ただの珍行動ではないと思えます。例えば、あえて水面に張り付いて流されることによって、長距離移動をかなえている可能性です。多くの捕食者(鳥や魚)が寝ている夜に顕著なことも、生き残る確率をアップさせるでしょう。
この行動、タニシやカワニナといった日本在来種が行っているか、気になってきました。ちなみに、ジャンボタニシの名で知られる外来種スクミリンゴガイの幼貝も行います。


その2.キバウミニナ
テーマ水槽に 3個体展示していたので、ご覧になった方もいるかと思います。現在はバックヤードにいます。彼らはマングローブの泥底を這いながら、ヒルギなどマングローブ植物の落ち葉を食べます。
一方で当館のキバウミニナ。ヒルギの落ち葉を与えていないにも関わらず、もう数か月にわたり、状態良く飼育できています。ちょっとまだ秘密にしますが、身の周りでたやすく手に入る植物で、代用できているのです。


キバウミニナ

その3.イシガイ類
タナゴが卵を産み付ける相手として知られる地味な二枚貝です。これの調査が、私のライフワークの一つでして、その繁殖期には少々時間を割いて、それ用に調査実験をおこなっています。
つい最近行ったバックヤードでの飼育実験により、写真のような稚貝が出てきました。イシガイ類の幼生は寄生虫で、相性の良い魚(魚にとってはたまったものではない?)に寄生させると、稚貝に変態します。大きさは 0.3mm以下。育てるのはとっても難しいのですが、どのように成長するのか、引き続き見てみたく思います。


稚貝

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