2023年07月17日
トリーター:園山

福がいっぱい!? フグの話 4

前回のトリーター日誌でクサフグの産卵の話をしました。
その後、6月下旬に I川トリーターから、小さいクサフグがたくさんいましたよ! と連絡が。

今年産まれた個体だろうと思い、見に行くもどこにいるのか分からない。。。
何度か見に行きましたが、タイミングが悪いのか全く見つからず、I川トリーターに相談すると、あっという間に採集してきてくれました。さすが採集が得意なI川トリーターです。

7月 1日に採集された個体を計測してみると、体長 9.8 mmから、20.1 mmまで大きさにばらつきがありました。

前回のトリーター日誌でも書いた通り、クサフグの産卵は

5月から 7月の大潮前後におこなわれます。そのため、同じ年に産まれたクサフグでも、生まれた日に最大 2か月程度差が出ることがあります。

あくまで飼育下での研究結果ですが、孵化24日後で体長 5.42 mm、 51日で18.3 mmに成長した記録があります。それと比較すると、今回採集した個体のうち、10 mm程度の個体は、およそ 1か月前の 6月生まれ、20 mm程度の個体は 2か月前の 5月生まれになると考えられます。20 mm程度の個体は、すでに成魚と同じ体色になっていますが、9.8 mmの個体はまだ体色が成魚と異なるのが分かります。

↓9.8 mmの個体です。

こんなに小さいクサフグですが、写真を撮っていると、立派に膨らむ瞬間を見ることができました。フグが膨らむのは、自身の身を守るために膨らみます。また膨らむだけではなく、体からは微量な毒が体外に出ており、他の生き物に毒を持っていることを示すことができます。

膨らんだ姿はかわいく見えたりもしますが、稚魚のころからも常に気を抜くことなく生きているその姿は、フグからすれば真剣そのものです。

水族館には多種多様な色や形をした生き物がいます。それら生き物の可愛らしさなどがピックアップされることも多いですが、それだけではなく、厳しい自然で生き抜くための、実に真剣な生き様も垣間見ることができますよ。


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