この間は地べたを這いまわる昆虫を落とし穴で採集しました。お次は空からやって来る昆虫を狙います。
ここ、江の島のまわり、俗にいう「湘南海岸」では、砂浜のすぐ陸側にクロマツやトベラといった潮風に強い樹木が植えられており、場所によってはちょっとした探検ができるくらいの林となっています。これらは砂防林といい、砂浜から道路や民家の方へ砂が飛んで行くのを抑えるためのものです。人工的な環境ですが、こうした砂浜の林にも、いろいろな昆虫が住んでいます。
一部の昆虫は光に向かって飛ぶ(正確には、月の光やそれに類似した光に一定の角度を保ちながら飛ぶ)性質があります。海辺のコンビニや歩道橋の灯りには、いろいろな種類の昆虫が集まります。自転車でめぼしい街灯をめぐり、不審者と間違われないようにしながら、灯りの近くの地面を見ながら、落ちている昆虫を探します。
一番多く目についたのがオオコフキコガネ。赤い体に白い粉をまぶしたような渋い色彩をしており、その粉吹き具合は千差万別です。オスはキセルのような立派なひげをたくわえています。中には道路上で交尾をしているカップルもいました。誰かに踏みつけられないようにね。
次に見つけたのはクロカミキリ。カミキリにしてはひげと脚が短い独特の姿です。幼虫はマツの幹に食い入って育ちます。1個体だけ見つかりました。
にぶい緑色のドウガネブイブイはかなり少なめ。数年前はオオコフキと並んで数が多かったのですが。そのかわり、より鮮やかな体色のアオドウガネが増えている気がします。これらは海辺の種というよりは、山でも森でもどこでもOKな種で、果樹や植木を喰い荒らす場合すらあります。子どもの頃はみんな「フンカナ」と呼んでいました。手でつかむとソソウをするからです。
カブトムシのメスを小さくしたようなクロコガネも 1個体得られました。湘南ではあまり見かけないので、見つけるとちょっと嬉しい種です。
各種必要な分だけ採集し、標本や生体で展示できるようにしたいと思います。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。