2016年11月20日

西部北太平洋調査航海(11)航海日誌11日目

  • 期間:2016年11月10日~11月25日
  • 場所:西部北太平洋
  • 目的:「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」
  • 担当:杉村


みなさん、おはようございます。
とっ・・・ もうお昼になってますね、午前一杯寝てしまいました。
結局、昨夜ベットに入ったのは午前3:00、既にきょうになってましたね。

きょうは、昨夜の採集でされた生物をいくつか紹介しましょう。
水深 200m~表層まで間口が直径 45cmのプランクトンネットで海中を鉛直に曳くと、多くのプランクトンが採集されました。
特に目立ったのはヤムシの仲間で体は細長く透明、大きさは 1cm前後で、一見するとウナギの子どものようにも見える毛顎動物の仲間です。
体は透明で殻がほんのり赤いオキアミの仲間、よく泳ぎ回る触角の長いカイアシ類やツリガネ型のクラゲ、数個体ですがクリオネなどの翼足類も採集されました。
他には、大きさが 1mmにも満たない浮遊性の有孔虫というとっても綺麗なプランクトンも採集されました。


カイアシ類の一種


オヨギゴカイの一種


オキアミの仲間

研究者の方々は採集されたプランクトンの一部を生きたまま持ち帰り、いろいろな条件下での飼育をおこなって、海洋の酸性化の影響を研究するそうです。
揺れるラボの中で顕微鏡を覗くのはなかなか大変な作業です。

きのうの昼から今朝にかけて低気圧の合間に観測調査ができたことは幸運なことでした。
この日誌を綴っている時点で、もう既に「よこすか」は陸に向かって進路を取っていました。
あと 1回くらいはネット調査をしたかったところですが、残念です。
自然の力には勝てません。
無理をすると今度は帰れなくなってしまいます。
本当に海洋調査って難しいですね。
ワンチャンスの調査でしたが、実施できて本当に良かったです。
観測調査に踏み切っていただいたキャプテンと首席研究者の藤木さんに感謝です。

そういえば、格納庫内で荷物の整理をしていたら小鳥が数羽飛び交っていました。
海まで餌探しに来て、疲れて船で休んでいるのでしょうか?
こんな陸から遠く離れた場所にも小さな鳥たちがやってくるんですね。
種類はいったいなんでしょうね?
船内にあった野鳥図鑑をお借りして探してみましたが、よく分かりませんでした・・・
ウミツバメの一種のような気がするのですが、やっぱりよく分かりません。
魚のようにはいかないですね・・・ (^_^)


格納庫で休憩中?の鳥類

さあ、あすからプランクトンのお世話が始まります。
船内に持ち込んで培養しているワムシやブラインシュリンプ、クロレラなどを駆使して無事生かして水族館へ持ち帰りたいと思います。

ではまた、あした。


JAMSTEC(海洋研究開発機構)YK16-16 西部北太平洋「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」を目的とした調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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