2023年10月15日

豊潮丸 薩摩硫黄島ホウキガニ採集調査(2)
航海日誌 2日目/杉村

  • 期間:2023年10月14日(土)~10月20日(金)
  • 場所:鹿児島県三島村 薩摩硫黄島
  • 目的:薩摩硫黄島におけるホウキガニの採集調査
  • 担当:杉村・藤田


実に 9年ぶりの豊潮丸 の調査航海に参加しています。
9年前は、瀬戸内海と東シナ海の調査でしたが、今回は薩摩硫黄島の近く北東に位置する海底から突き出た岩の島「昭和硫黄島」の熱水の湧き出る場所の調査です。
薩摩硫黄島(昭和硫黄島)は、鹿児島県と屋久島の間に位置する島です。

呉港にある練習船基地を出港して、きょうは2日目、まずは調査拠点となる薩摩硫黄島に向けて、回航中です。
瀬戸内海を抜けて、南に向かって航行していきます。
豊後水道に入ってから、いよいよ船の揺れも大きくなり始めました。
きょうの朝には、宮崎県串間市にある都井岬周辺までやってきました。
そして、ついに九州の最南端の佐多岬を横目に見て、黒潮流域へ。
しばらくすると、海鳥が・・・ カツオドリが1羽、そしてまた1羽、最終的には5羽ほどが船の周りに集まってきました。
周囲を見渡すと “トビウオ”が水面を滑空していました。
カツオドリたちは、そのトビウオ目がけて水面すれすれを飛び、そして海へダイブ!!
彼らは、船に驚いた?トビウオを狙って集まってきていたようでした。
カツオドリは間近で見ると、青い顔にスラっとしたフォルムのとってもきれいな海鳥ですね。

佐多岬(手前)と開聞岳(奥)佐多岬(手前)と開聞岳(奥)

船の間近までやってきたカツオドリ船の間近までやってきたカツオドリ

佐多岬を過ぎた後から、船の揺れは最高潮に!
まともに立ってはいられない状態になってしまったので、薩摩硫黄島入港まで部屋にこもることにしました。
ベッドの上で、何もしていないのに ごろごろごろ・・・

数時間後には、無事に薩摩硫黄島へ到着。
薩摩硫黄島の周辺の海は、乳白色からグリーン、そして周囲の青い海のとてもきれいなコントラストを見せてくれていました。
この境目が有名な「水中オーロラ」が見られる場所だそうです。
海から見るこの島は、とても力強く、山間からは温泉や硫黄の煙が立ち上り、リアルな火山活動を見ることができました。
港は、島の海底から湧き出る温泉の影響で全てまっ茶色に染まっていました。
薩摩硫黄島は、霧島火山帯に沿って噴出した海底火山の一つで、鬼界カルデラの中央火口丘に当たり、島の崖には海面に突き出たカルデラの外輪を見ることができました。
ここは、日本ジオパークに認定されている「三島村・鬼界カルデラジオパーク」という場所です。

着岸後、島を散策して海岸へ出ると、海岸も赤く見えたので、砂浜まで行ってみると砂も赤いのには驚きました。
石も火山岩に混じって、江の島でも見られるような丸い石もありましたが、硫化鉄の影響でしょうか、赤茶色に変色していました。
なんだか不思議の島に上陸した感じがしました。

薩摩硫黄島薩摩硫黄島

薩摩硫黄島の港(茶色く染まった港)薩摩硫黄島の港(茶色く染まった港)

薩摩硫黄島の海岸(赤い砂)薩摩硫黄島の海岸(赤い砂)

きょうは、南の海の自然に触れることができたとても貴重な1日でした。
一緒に激しい揺れも・・・厳しい自然も・・・

あしたからいよいよ本格的な調査が始まります。
調査については、次の航海日誌で・・・

それでは、本日はここまで。
無事に調査ができるように、祈りながら休みたいと思います。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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