2023年10月18日

豊潮丸 薩摩硫黄島ホウキガニ採集調査(5)
航海日誌 5日目/藤田

  • 期間:2023年10月14日(土)~10月20日(金)
  • 場所:鹿児島県三島村 薩摩硫黄島
  • 目的:薩摩硫黄島におけるホウキガニの採集調査
  • 担当:杉村・藤田


早いもので、調査航海はもう折り返しです。
きょうは硫黄島港を出港して種子島へ移動します。出港の時間になると、近くで硫黄島を見ようとデッキへ出てみました。

硫黄島とはお別れです硫黄島とはお別れです

はじめて見たときも煙が立ちあがっていましたが、きょうは一段と多くもくもくと煙があがっています。島からの餞別で煙多めなのかな、なんて笑い話をしていると硫黄島はあっという間に小さくなっていきました。
それにしても波風がほぼなく、心地よくてついうとうとしてしまうほどきょうの海は凪いでいます。17日から18日の潜水調査で感じた強いうねりと揺れがまるで嘘みたいです。
「このコンディションがきのうだったら・・・」「この海況で水中ドローン調査をしたい・・・」などなどいろんなぼやきが聞こえてきました。

昭和硫黄島も白波ひとつないベタ凪です昭和硫黄島も白波ひとつないベタ凪です

ひっくり返りそうな波の中ボートで島に向かったり、水中で身体を固定できないほどのうねりを体感することも、今回ならではの経験です。調査の日程はあらかじめ決まっていて、そのときの状況によって臨機応変に対応するのが航海というものです。

さて、きょうはビームトロール採集をおこないました。
当初の予定では 17日から 18日にもおこなう予定でしたが、海況や海底のコンディションの関係でできずにいた採集です。ようやく実施できることになったビームトロールというのは網のついた枠を海底まで降ろし、航行し底生性の生物を採集する装置です。
今回のビームトロールは種子島周辺の沖合水深 200m近辺で 10分間曳網をしました。船尾から降ろしていき、海底を曳いた後、あとは巻き上げを待ちます。果たしてどんな生き物が入っているのか、期待が高まります・・・!
そんなことをしているとあっという間に 10分が経ち、網が巻き上げられてきます。揚網した網の中にはたくさんの泥や砂、礫とともにカイメンやヒトデ、ウニ、トリノアシ、ナマコなどさまざまな生物が入っていました。

揚網のようす揚網のようす

トリノアシやヒトデの姿が確認できますトリノアシやヒトデの姿が確認できます

ここから飼育する生物を急いで水槽に収容しいていきます。水槽になるべく泥を入れないようにしつつ、小さな生物は小分けの容器に入れてから水槽に浮かべていきます。

小さなカニやエビなどがいます小さなカニやエビなどがいます

飼育する生物の収容と同時進行で、生物相調査のためのサンプリングも進められます。
今回入網したすべての生物を砂の中から拾って分けていきます。このソーティングという作業がなかなか大変なのですが、今回は人手が多かったので比較的早く完了しました。長時間下を向く作業なので船が揺れているとすぐに酔ってしまうのですが、きょうは凪だったのでまったく問題なしでした。

みな黙々とサンプルを探しますみな黙々とサンプルを探します

作業も順調に進み、豊潮丸は種子島の西之表港へ入港します。種子島では各々散策をしたり岸壁採集をしたりしました。島ならではのご飯や星空を満喫し休息をとります。
航海も残すところ僅かです。楽しみながらしっかりいろんなものを吸収していきたいと思います。

西之表港にて夕焼けと豊潮丸西之表港にて夕焼けと豊潮丸

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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