2007年07月16日
トリーター:北田

[深海生物小説 1] 15番のユノハナガニ

私は“えのすい”のユナハナガニ。名前は「 15番」。
というのもえのすいトリーターの北田によって背中に「 15」というテープを張られてしまったからである。
1から25番までいるようだ。そのテープも最近剥がれてしまった。

私はユノハナガニの水槽の中で一番大きい。それだけ苦難を乗り越えているのだ。だから私は傷だらけ、甲羅には穴も空いている。
中身が見えちゃうけど見ちゃ駄目!だって、私、女の子です。

私は熱水が大好き。“えのすい”のユノハナガニ水槽の熱水は、40℃前後と温泉に浸かっているかんじ。
でも、温泉は一つしかないのでいつも満席。上にのぼらないと暖かくない。
みんなが登ってくる。やめて、みんなが上に乗ると・・・ カニの雪崩が起きてしまって私も転んでしまう。

私の旦那は誰なのか、誰も知らない。そんな私が先日卵を授かった。えのすいトリーターも見守ってくれている。
お腹に抱えたこの卵を暖めてあげなくては・・・。
そんなことで私はきょうも熱水のてっぺんを目指す。

ユノハナガニ15番 (C)JAMSTEC ユノハナガニ15番 (C)JAMSTEC

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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