2008年12月20日
トリーター:根本

シロウリガイには謎と不思議が詰まっているのです!


シロウリガイ・・・ 
名前のとおり“シロウリのような貝”です。非常にシンプルな名前を付けられてしまっている貝ですが、その生態は謎と不思議に満ち溢れています。

この貝、実は最近まで“幻の貝”と呼ばれていていました。化石では知られていたのですが、51年前に相模湾で貝殻が発見されたことにより現在でも生きていることがわかりました。
しかし、その後約 30年の間、生きている貝は見つかっていませんでした。
1984年に潜水調査で相模湾の硫化水素が湧く海底で生きていることが確認され、今では多くの研究者がこの貝を熱心に研究するようになりました。

実は現在、“えのすい”の水槽で生きている姿を見ることができます!きょうはここでこの地味な海を大きく宣伝をしたいと思います!

まず、世界でも生きたシロウリガイが見られるのは、実は“えのすい”だけです!!
今までは、生きている姿を生で見られる人は「しんかい6500」で潜っていける人くらいでした。
それを潜らずして観察が出来るので一見の価値ありです!!
それと、ものすごく地味な貝なのですが実はすごい秘密を持っています。
たくさん書きたいのですが、3つだけ紹介します。

1つ目:普通の海底では生きていけません!
シロウリガイは、海底から猛毒の硫化水素が湧いている場所でしか生きていけません。
そういう場所が相模湾にあるのですが、普通の生物は死んでしまうようなこういう場所で大群を作り好んで生きています。
その理由は餌にあります。

二つ目:食べ物は食べません。
シロウリガイは消化管が退化しているので、普通の二枚貝のようにプランクトンを水と一緒に取り込んで食べることができないそうです。
その代り鰓に牧場を持っていて、そこでバクテリアを育てそこからエネルギーをもらって生きています。
硫化水素はこのバクテリアの餌になるのです。

三つ目:水槽ではすぐ死んでしまいます。今までは・・・
シロウリガイは飼育がうまくできません。採集して来て水槽で飼育しても数日で死んでしまうのです。
また、貝の血はだいたい透明に近い青色をしているのですが、シロウリガイは真っ赤な血液を持っていて、死ぬ時にこの赤い血を周りに吐いて死んで行きます。
血が赤いだけにその時はかなり衝撃的です・・・ 。
しかし!
“えのすい”ではシロウリガイの長期飼育に挑戦しています。
そしてまさに展示水槽で挑戦中なのです!きょうで水槽に入って 8日です。
過去に一回 1か月を越える飼育ができましたが、今回はどうでしょう!?
いろいろと試行錯誤しながら長期飼育技術を開発をしていますのでみなさんも注目して見てみてくださいね!

シロウリガイ (C)JAMSTECシロウリガイ (C)JAMSTEC

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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