2010年10月23日
トリーター:唐亀

2a little ドリトル


動物たちには私たちの言葉が通じません。もしかしたら通じているのかもしれませんが、彼らの言葉は私たちには理解できません。それでも、トレーニングやショーを通じて、何となく意思が伝わっているような感覚を覚えることは多々あります。

健康管理のトレーニングは言葉を交わすことのできない彼らが病気になる前を知るための大切なものです。
体温測定、体重測定、採血など。魚などは目視での観察となりますが、体の大きな海獣たちは、病気になる前に治療をおこなう方が、彼らにとっても私たちにとっても負担が少ないというもの。ましてや、体調を崩した彼らは、健康管理のトレーニングが完璧にマスターしているものでも、それに応じなくなってしまいます。なにしろ体調が悪いのですから。

そうなると「取り上げ」と呼ばれる治療がおこなわれます。獣医さんを筆頭にトリーターたちが網などを使ってつかまえ、補ていして治療をおこなうのです。一見可哀想に見えるかもしれませんが、みんな治ることを信じて必死に治療をおこないます。それも毎日です。以前、ひと月以上も毎日治療ということもありました。朝早くから毎日の治療に関わっていたスタッフは、流石に疲労の色は隠せませんが、それでもみんな、日中のショーでは素晴らしい表情でショーをこなしていました。

動物たちにとって、取り上げ治療は嫌なことだと想像できます。痛いでしょうし、つかまえる訳ですから。
しかし、いくつかの例で、途中から抵抗をおこなわず、すんなり網やカゴに入って治療を受けるものも見られました。まるで、治療を受ければ楽になると学習したかのように。

大水槽のツバメウオ「フララ」もよく体に虫がついてしまうのですが、痒くなってきた頃に網を持って潜ると、さすがに自分から網に入ることはありませんが、割とすんなり網に入り、淡水浴をして水槽にもどると何事もなかったように寄ってきます。
言葉が通じなくても、気持ちは通じるかもしれませんね。

ツバメウオツバメウオ

uogokoro(うおゴコロ)

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