2011年02月13日
トリーター:櫻井

団子か魚


そいつの名はダンゴウオ。
だんごのような魚でダンゴウオ。
海でそいつを見かけたら、子どもは叫ぶ。
「あっ!おだんごだ!」
わたしは魚のダンゴウオ。
ほら、見て。ひれが付いているよ。
見て見て。泳ぐよ。
「いた!ダンゴウオ発見!」

真冬の夜のタイドプールに、海藻そっくりに擬態してじっ、としているダンゴウオ。
泳がなければまず見つからないほど、完ぺきな擬態能力のダンゴウオ。
存在を確認してもらうためとしか思えないほど、おそまつな泳ぎ方のダンゴウオ。
なぜ泳いでしまうのか、ダンゴウオ。
僕は君を本物のおだんごだなんて思っていない!
ほら、見てごらん。
あっちにも、こっちにも、ぴよぴよ、ぴよぴよ、おだんごが泳いでいるよ。

ダンゴウオダンゴウオ

RSS