2011年09月09日
トリーター:植田

当館のシイラ


本日の作業の合間にできた、ちょっとしたふれあい体験のお話です。
だいたい夏場になると、例年相模湾沿岸の定置網にシイラの幼魚・若魚が入るようになります。
大きさはさまざまで、小さいもので体長 50cm程度、大きなものは 80cm前後のものまでいます。
今年の「シイラ・シーズン」には、何匹か定置網の便乗採集で漁獲され、相模湾大水槽に持ち込まれました。

シイラは額の部分が少々出っ張って、鰓ぶたより後ろの下半身が徐々に細くなる身体つきをしています。
水面近くを高速で泳ぎ、小魚など追いかけて食べる、捕食型の魚種の一つです。
水面上から泳ぐときの姿を見ると、黄緑色の体表に上からの光を反射し、とても鮮やかな光沢を放ちます。

本日、相模湾大水槽の他の魚たちへの給餌を終えた後、岩場で海藻取りの掃除をしていると、シイラの幼魚 1匹が私の脇を左へ右へゆっくりしたスピードで、私のようすを伺うように行ったり来たりしています。
警戒したようすも見せずゆっくり泳ぎまわるので、何気なく持っていた残り餌のイカの切り身をその個体の目前に示してみました。
すると何のためらいもなくそのイカをぱくりと食べるではありませんか。
その後も私の周りを離れないので、次に小さなアジを示してやると、それもすんなり食べてしまいました。
そこまで食べた後、その子はおなかがいっぱいになったと見えて、私のそばからスーと離れて行きました。
高速で泳ぐ捕食型のシイラが人の手元から餌を食べるような経験はそれまでになく、ちょっと新鮮な体験をさせてもらいました。

事務所に戻ってその顛末を、ダイビングショーをやっているベテランKトリーターに話したところ、シイラの中には体表に付いた寄生虫を擦り落とすのに、掃除や給餌のために入ったダイバーにわざと身体をこすりつける行動をする個体がいるそうです。
そうしているうちに、どんどん人への警戒心や恐怖心のようなものが無くなっていくようだと教えてくれました。
そのうち水上から手を入れると、かのシイラは身体を擦り寄せてくるようになるのでしょうか。

シイラシイラ

相模湾ゾーン

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