2012年09月08日
トリーター:鈴木

イルカ・クジラ入門 5

~イルカ・クジラはどのくらい潜る?~


こんにちは鈴木です。
前回のイルカ・クジラ入門 4ではイルカ・クジラの遊泳能力について書かせていただきましたが、今回は潜水能力について書いてみたいと思います。

では早速、研究者によって調べられたデーターを元に主な鯨類の潜水記録を見てみましょう。
ただ、潜水記録といっても人間界のような限界に挑戦した記録ではなく、イルカやクジラたちが日常で普通に潜る深さと時間を調べ、その中での最大の記録であることを頭に入れておいてください。

最大潜水深度(m) 最大潜水時間(分)
ヒゲクジラ類
・ナガスクジラ 500m 30分
・ホッキョククジラ 300m 80分
・セミクジラ 184m 50分
・ザトウクジラ 148m 21分
・シロナガスクジラ 100m 50分

ハクジラ類
・マッコウクジラ 3000m 138分
・イッカク 1000m 20分
・トックリクジラ 1000m 120分
・バンドウイルカ 535m 12分
・シャチ 260m 15分
・カマイルカ 214m 6分

どうでしょうか。みんなすごいですね・・。
当たり前ですが鯨類の潜水能力の高さを改めて実感しますね。

これを見ると、ハクジラ類の方がヒゲクジラ類に比べ深く潜るものが多いのが分かります。
これは、ヒゲクジラ類は表層性の魚やプランクトンを餌とし、ハクジラ類では表層性の魚だけでなく深場のイカや底棲の魚も餌としているためと考えられています。
前述したように、動物たちは潜水記録を狙っているわけではなく、あくまで普段の生活で必要な潜水をしています。
ヒゲクジラの方が深く潜れないわけではなく、深く潜る必要がないんですね。

一方、ハクジラ類ではマッコウクジラやイッカクの他にもいくつかの種で数百メートルを超す深海まで潜水していることが分かっています。
すごいですね・・。

ではここで、小難しい話を簡単に少し。
イルカやクジラはなぜそんなに深く長く潜れるか?についてです。

まずは長く潜れるひみつ
イルカやクジラは、潜水によって血液中の酸素が低下すると、血液を重要な器官にだけ送るようにして、酸素の消費を節約できます(これは人間も多少はできるみたいです・・)。
さらに、酸素を運搬する血液中のヘモグロビンや筋肉中に酸素を貯蔵するミオグロビンといった物質がそれぞれ多く含まれており、肺から取り込んだ空気(酸素)を大量に血液中と筋肉中に蓄えておくことができるんです。
こうしてイルカやクジラたちは、酸素の貯蔵と節約をすることによって長時間潜水することができます。
素晴らしい機能ですね!

続いて深く潜れるひみつ
深く潜れば潜るほど体には大きな水圧がかかり、人間ならば肺がつぶれたり、肋骨が骨折したりしてしまいます。ですが、イルカ・クジラは肺が非常に強く、圧力でつぶれても破裂することがありません。さらに、肋骨の間接が胸骨と離れていることや、軟骨があるおかげで柔軟さがあり、折れる心配がないんです。
羨ましい!

こうした体の機能が人間では到底できない潜水能力を実現していたんです!
本当に驚くばかりです・・。
以上です!

では最後に私事ですが・・
本日初めてショー(きずな/kizuna)でイルカを最後まで担当させいただきました。
まさかこんな日が来るとは夢にも思わず・・。
本当に嬉しかったです。
ご指導してくださった先輩方や応援してくれたお客さま、そしてパートナーになってくれた(かは分かりませんが・・)バンドウイルカの「ミレニー」のおかげです。
本当にありがとうございました。


きずな/kizuna

さらに、そのショーをたまたま見てくださっていた常連のお客さまからも
「なかなか良かったね!」
とお褒めの言葉をいただき、感無量でした。
これから先も、先輩方のような動物たちとの素晴らしいきずなを見せられるように一層努力していきますので、みなさんこれからもどうか宜しくお願いいたします。

それでは失礼いたします。

バックナンバー
イルカ・クジラ入門 1 ~イルカとクジラの違いは?~
イルカ・クジラ入門 2 ~イルカ・クジラの語源~
イルカ・クジラ入門 3 ~イルカ・クジラの仲間は何種類いる?~
イルカ・クジラ入門 4 ~イルカ・クジラの泳ぐ速さは?~

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