2012年10月21日
トリーター:櫻井

ウツボこわい


只今、相模湾大水槽には数匹のウツボが暮らしています。
その中に一匹、少しびくびくしたウツボがいます。
つい 10日ほど前に収容されたばかりのウツボです。

水槽の中の魚は次第にその環境に慣れていきますが、新しく仲間入りした魚たちは慣れるまでに少し時間がかかります。
その日のうちにすぐ慣れる図太い神経の・・・ いや、適応能力に優れた生物もいますが。

このウツボは私に若干、嫌な思い出をフラッシュバックさせてくれます。
私は過去にウツボに噛まれて大怪我を負ってしまった事があるのです。

あれは当時私がまだ新米飼育員だった頃。
新しく入ったばかりのウツボが環境に馴染めなかった為か、水槽からにょろにょろと脱走をしてしまいました。
床でのたうちまわっているウツボに、何を思ったか今ではもう覚えていませんが、気が付いたら噛まれていました。
恐らく手で掴んで水槽に戻そうとはさすがに思わなかったハズです。
反射的に手が出てしまったのでしょう。
どちらにせよ若かったです。

うおゴコロでラックスを抱いて遊泳しているくらいですから、普段ウツボに対する恐怖心は全くありません。
しかしこの、周りに比べると一回りも二回りも小さなびくびくしたウツボは、私にまざまざと『恐怖心』というものを実感させてくれます。
早く大水槽の環境に慣れて堂々と構えて欲しいと願うと共に、初心を蘇らせてくれている事実に複雑な心境です。

潜水給餌の際、餌の匂いを嗅ぎつけて襲いかかってくるウツボにすら恐怖心を覚えませんが、びくびくと警戒心たっぷりのウツボは恐ろしくて仕方ありません。
今後の馴致具合を生温かい目で見守りつつ、相模湾大水槽の中でこのウツボと次第に心を通わせていこうと思います。

ラックスと(うおゴコロ)ラックスと(うおゴコロ)

uogokoro(うおゴコロ)

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