2012年10月20日
トリーター:鈴木

イルカ・クジラ入門 6

~イルカ・クジラの体色のひみつ~


こんにちは鈴木です。
このシリーズも早いもので 6回になりました。
前回、前々回とイルカ・クジラの遊泳や潜水能力について触れ、いよいよ入門らしい内容になってきたのですが、ここでまたマニアックな内容に触れていきたいと思います。
今回はイルカ・クジラの体色(模様を含む)についてです。(もう入門ではなくなっていますが・・)

鯨類の体色は、昆虫や魚類などと違って色彩や模様に富んでおらず、それについて話題になることは少ないかと思います。
しかし、そこにはちゃんと理由があります。
では、イルカ・クジラの体色を大きく 3つのタイプに分け、そのひみつを解説していきます。

タイプ 1:背中が黒で腹部が白
バンドウイルカやネズミイルカなど多くの小型のハクジラ(つまりイルカ類)がこれに含まれます。
これは、上から見ると深場の暗い海の色に背中の黒がまぎれ、下から見ると上からの明るい光に腹の白がまぎれるため、上からも下からも見えにくく、周囲の状態にカムフラージュできる色なんです。
これは敵からの回避や、餌の魚を追いかける時に役立ちます。
やはりこの体色をもつものは、その効果を最大限利用できる光の届く表層を泳ぐ種類が多いようです。
ちなみにイワシやマグロ、サバなどもこれと同じです。ぜひ鮮魚売り場でよーく見て、イルカ・クジラを想像してみてください。(ちょっと厳しいですか・・)

タイプ 2:単一色
全身が同一、単一の体色をしたものです。
全身が真っ黒なマッコウクジラ、真っ白なシロイルカ(ベルーガ)、他にもセミクジラやシロナガスクジラなど多くのヒゲクジラ類が含まれます。
主にプランクトンなど動きの遅い生き物をエサとしている種(ヒゲクジラ類)では餌を追いかける必要がありませんし、深く暗い場所(深海など)の生物を餌としている種類(マッコウクジラなど)では周囲が常に真っ暗なので体色はあまり関係がありません。
そのため、これらの種では自分をカムフラージュすることに重きを置く必要が少ないので、体が単一色でも問題はないといわれています。
無駄がないですね。
ただ、北極海など氷雪海域でくらすシロイルカの真っ白な体は、周囲の氷雪にカムフラージュする役割があります。

タイプ 3:ストライプ状またはスポット状
部分的に白と黒ではっきりと色が分かれたシャチやイロワケイルカ、体側に白いストライプが入ったカマイルカ、体全体に斑点があるマダライルカなどがこれに入ります。
白黒のツートンカラーやストライプでは、明るい所では黒い部分が強調され、暗い所では白い部分が目立ちます。
つまり、明るさによって体のどちらかの色が強調されます。
これにより、体の全身像がぼやけて分かりにくくなり、餌生物の追跡や敵の目をくらますことに役立ちます。
斑点も同じ理由で、全体像をぼかす効果があります。
コントラストの違いを利用した賢い作戦ですね。

いかかでしたか?
イルカ・クジラたちは複雑な模様や派手な衣装を纏っていなくとも、そこにはしっかりとした役割が備わっています。本当に素晴らしいです。
やはり自分の趣味思考で衣装を纏うのは人間だけですね。ただ、それも人間社会で自身をカムフラージュし身を守るための大切な手段、といえますね。
・・と、なんかそれっぽいコメントで久々にきれいにまとまった(?)ところできょうはそろそろ失礼いたします!(笑)
本当は今回そろそろイルカ・クジラの五感あたりに触れようかとも思ったのですが、やっぱりこのシリーズ、そういった鉄板ネタはなるべく温存し、小出しにしながら細々となが~くやりたいと思っています!(^_^)

みなさまこれからもどうかよろしくお願いいたしますm(_ _)m

バックナンバー
イルカ・クジラ入門 1 ~イルカとクジラの違いは?~
イルカ・クジラ入門 2 ~イルカ・クジラの語源~
イルカ・クジラ入門 3 ~イルカ・クジラの仲間は何種類いる?~
イルカ・クジラ入門 4 ~イルカ・クジラの泳ぐ速さは?~
イルカ・クジラ入門 5 ~イルカ・クジラはどのくらい潜る?~

タイプ1:バンドウイルカタイプ1:バンドウイルカタイプ2:オキゴンドウタイプ2:オキゴンドウタイプ3:カマイルカタイプ3:カマイルカ

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