2013年04月06日
トリーター:鈴木

アシカ入門 1

アシカ(オタリア)の耳アシカ(オタリア)の耳

~アシカと呼ぶ定義は?~

こんにちは、鈴木です。
早速ですが、みなさん、アシカと聞いてどんな生き物を想像しますか?

以前の日誌(えのすいアシカ入門)にも書きましたが、このアシカという呼び方はそれに近い仲間たちの総称で、アシカという種類がいるわけではないんです。
そして、このアシカの定義は狭義なものから広義なものまであり、実はかなり曖昧なんです・・。
というわけで、今回はそんなアシカの定義について書いていきたいと思います。
今回は長くなりそうです・・(^_^;)(毎回ですが・・)

では次にみなさん、多くの水族館のショーで活躍する、イルカショーとよくセットになっていて、トレーナーと一緒にステージに出てきて、鼻先にボールを乗せたり、拍手を求めたり、倒立したりする、真っ黒なあの動物、何て呼んでいますか・・?

ほとんどの水族館ではアシカで正解です。

でも、ショーでアシカが登場した際、お客さまの声を聞いていると、
「あれアシカだよね?いやオットセイじゃない?いや、アザラシだよ・・」
というように、大きく 3種類くらいの呼び名が出てくることがあります。
おそらく、この 3種類を混同されている方が多いのではないでしょうか。
さらに、有名なところでは、テレビや水族館でもよく名前を耳にする、「トド」や「セイウチ」、あとは水族館のショーによく登場する「オタリア」・・。
これらが混ざってきたら、何が何だか・・。という方も多いと思います。

それもそのはず。これらは大きなグループではみんな同じ仲間なので、大まかな体つきは似ているんです。
なので、今回はそんなところもすっきり理解してもらえればと思っております(^^)/

アシカの定義を理解する際には、これらの混同する種の説明は不可欠で、逆にこれらが分かってしまえばアシカの定義が分かったも同然です!
だいぶ複雑ですが、頑張って読んでくださいね!(すいません・・)

では一つずつ順番に説明していきます。

まず、今名前が挙がった種はすべて「鰭脚類(目)」(ききゃくるい)という大きなグループに入ります。
よく、分かりやすいように訓読みで、ひれあし類と呼ぶこともがありますが、名前の通り脚がひれの形をしていて、水中の遊泳に適した体になっているグループです。

さらに、この鰭脚類(目)は大きく「アシカ類(科)」、「アザラシ類(科)」、「セイウチ類(科)」の 3つに分けられます。
ここからも分かるように、まずアシカ、アザラシ、セイウチは違う仲間なんです。
ちなみに、よく間違えることがある、アシカとアザラシの大きな違いを挙げると・・
前脚を使って泳ぐのがアシカ。腰を曲げながら後脚を使って泳ぐのがアザラシ。
前脚で上体を起こし、陸上を器用に移動することができるのはアシカ。上体を起こすことがほとんどできず、全身で這って移動するのがアザラシ。
目の横に耳介(耳たぶのようなもの)があるのはアシカ、耳の部分に穴が開いているだけなのはアザラシ。
といった具合です。(実物を見れば一発ですが・・)


アザラシの耳

これらと比べても全く違いますが、ブヨブヨとした体つきで、キバがあり、口の周りに固いヒゲが密集するのがセイウチです。(セイウチ類はセイウチ一種のみです)

ここからちょっと複雑になってきますよ・・。
次にこのアシカ類(科)を細かく分けてみると、大きく、アシカ類(亜科)、オットセイ類(亜科)に分かれます。
この場合のアシカ類(亜科)は先ほどのアシカ類(科)よりさらに似ている者同士を選りすぐって集めたアシカ類、と考えていただければと思います。(適当な説明ですみません・・)。
ここで、おそらくみなさんが一番間違えている、アシカとオットセイが違う種類だということが分かると思います。
アシカやオットセイにはいろいろと種類がいますが、大まかに違いを挙げると、体格(アシカに比べオットセイの方が小ぶり)、脚の長さ(オットセイの方が長い)、体毛(オットセイの方が毛が濃くフサフサしている)などがあります。

すみません、もっと複雑になります・・。
そして、この選りすぐりのアシカ類(亜科)をさらに分けると、アシカ類(属)やトド類(属)、オタリア類(属)などに分けられます。
もうお気づきかと思いますが、この場合のアシカ類(属)は先ほどのアシカ類(亜科)よりも、さらに似た者を選りすぐったアシカ類のことです。(ほんと適当ですみません・・)

あと一歩!最後に、この 3属それぞれの種類を見ていきます・・。
アシカ類(属)には、カリフォルニアアシカやニホンアシカ(絶滅)などが入っています。
トド類とオタリア類は、それぞれトドとオタリアの一種のみです。
ちなみに、このカリフォルニアアシカとオタリアは、水族館でアシカショーといえばこのどちらか(または両方)といっても過言ではないくらい全国で活躍している種類です。
この属くらいまで来ると、どれも非常に似ているので分からなくても無理はないです・・。

ではこれらを理解した上で本題のアシカの定義はというと・・
狭い意味では最後に出てきたアシカ属の総称といわれており、広い意味では、(オタリアやトドを含む)アシカ亜科の総称や、(さらにオットセイも含む)アシカ科の総称、または、名前に「~アシカ」と付く種の総称などがあります。(これには研究者よっていろいろな考え方があります・・)
まあ、何といいますか、結局曖昧なんです・・。
すっきりしないですみませんm(_ _)m

まあでも、なんとなくでも混同していた種類が整理できて、少しでもこれらを理解するきっかけにでもなれば嬉しいです(^^)

どんな生き物でもそうですが、少しでも何か予備知識を学んだ上で実物を見ると、今までとは全く違った見方ができたり、新しい発見をすることができたりと、もっともっと面白く生き物たち見ることができるはずです。
百聞は一見にしかずと言いますが、百聞して一見しても水族館はかなり楽しめますよ(笑)

ぜひ、そんな実物たちに会いに“えのすい”に来てくださいね!

最後に補足です・・
生物の分類(グループ分け)は、大きいものから順に、界、門、綱、目、科、(亜科)、属、種というように細かく分けられていきます。
例えるなら、私たちの住所(国、県、市(区)、町、丁目、番地、号)のようなイメージです。
鰭脚類に限らず生物の分類の仕方については研究者によってさまざまなので、本や資料などによっては今回の文章とは違った分け方をしている場合もありますので、ご了承お願いいたします。

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