2013年09月17日
トリーター:今井

“川魚のジャンプ水槽”での研究

オイカワオイカワ

本日、“川魚のジャンプ水槽”に新しい 65尾のオイカワが追加展示され、さっそく見事なジャンプを披露しております。
当館では、数か月間にわたって川魚(オイカワ、ウグイ、アブラハヤ等の混泳群)のジャンプ回数を計測したことがあります。その結果、面白いことが分かりました。

・朝一番と夕方最後では、朝の方が回数多くジャンプした。
・上流側にうまくジャンプできず、失敗して落ちてしまう回数は朝の方が多かった(夕方の方がジャンプ成功率が高かった)。
・飼育日数が経過するにつれ、回数も減少してきた。

開館中、展示水槽内では 1時間に 1回減水させ、底床に小さな滝を作って、川魚の遡上行動を観察できる仕組み(ジャンプタイム)になっていますが、魚も慣れる(学習する)ものだなと、改めて感じたものです。
ですから、右も左も分からない新人?は、自然よりも小さな滝で思い切ったジャンプをしてしまうのでしょうね。

*魚が怪我をしないように水流や向きを調整しています。また、魚体が擦れる石をツルツルに磨いたり、陸側に落ちやすい場所には人工植物を配置したりしています。

ちなみに、現在はオイカワが主役となっていますが、ライバルのヌマムツ(関東地方に分布を広げつつある種で、これまたオイカワに引けを取らぬ美しい魚)と比べてどちらが多くジャンプするか、実験したこともありました。数週間、観察をしていましたが、この時はオイカワの方に軍配が上がりました。
人工環境の下、各魚種に遡上しやすい滝というものがあろうかと思いますが、習性的にもヌマムツが流れの緩やかな環境を好んだ(流れを避けた)ように思われました。
昨今では、全国各地に“ジャンプ水槽”が設置されているようです。 “えのすい”考案の行動展示が、多くのみなさんに楽しんでいただいていると思うと大変うれしく思います。

相模湾ゾーン

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