2013年09月18日
トリーター:石川

秋の気配

フンボルトペンギンフンボルトペンギン

こんな題だと、ひと昔前のニューミュージックとかいわれた頃の曲を思い出してしまうとしたら同世代ですよ。

空が高く見え、このあたりだと、まだ冠雪のない青い富士山が見える頻度が高くなり、夕刻からはセミじゃない秋の虫の声が心地よい、そんな時期ではないでしょうか。

秋の虫というと鳴く虫をイメージされる方が多いと思いますが、実はあの不快な虫もこれからのほうが被害に遭うことが多かったりするのです。

“蚊”です。

私もよく刺される方なのではっきりいって嫌いな虫ベストスリーに入ってしまいます。
痒くなくて、変な病気を媒介しなければ、数十匹くらいの蚊なら刺されてもよいとは思っているのですが、なにせ痒いですし、幼少のころからの嫌悪刺激の賜物でしょうか、寝ている時に耳元で“プ~~ン”を聞こうものならもう寝られなくなってしまい、翌朝は寝不足です。
子供の頃壊れたラジカセを持っていて、軽くたたくとブーーンという大音量を出してしまう使えないものを後生大事にしていたのですが、これにイヤホンを付けると、例のプ~~ンになるのです。
これを寝ている兄の耳元へ持って行ってくるくる回すとおもしろいように寝ながら兄が反応するのです。
嫌悪刺激の実験完了!・・・悪い弟です!

ちなみに私の嫌いな虫ベストスリー残り2つですが、ナンバーワンは“ハチ”、ナンバーツーは“ブユ”です。
ハチは生物としては実に興味深い生き物で、いろいろ観察してみたい願望はあるのですが、幼少のころに刺された嫌悪刺激がよほど強いのでしょう。キイロスズメバチやアシナガバチの仲間は特に「ダメ!」ですね。
“ブユ”は刺されたことがある人はわかると思いますが、あの小さいゴマ粒ほどの虫があれだけの痛痒さを継続させるというのはビックリです。
夏の磯釣りでは、特に夕マズメなどは暑くても長袖長ズボンは必須です。露出はなるべくなくすしかないですね。

さて話がいつものように長くなってしまうので本題へ・・・
この“蚊”、実はペンギンたちへも多大な影響を与えてしまうことがあります。

みなさんは蚊が媒介するマラリアという病気はご存じだと思います。
南の方の話しと思われるかもしれませんが、地球温暖化で、あと数℃平均気温が上がると日本の国内でも安心してはいられないという、ちょっとコワイ話しもあります。
そして鳥の世界には鳥マラリアなるものがあり、日本の蚊は鳥同士でそれを媒介するのです。
しかし日本の野鳥ではあまり話題になりません。
どうやら抵抗力があるらしく感染しても発症しない?種がほとんどなようです。
しかし鳥類の中で鳥マラリアに抵抗力がない種がいくつかあります。
ハワイの固有種や猛禽類、そしてペンギン類らしいのです。
猛禽類は良くわかりませんが、ペンギンとハワイの固有種はもともと鳥マラリアに侵される環境に生息していなかったため、抵抗力がないようなのです。
当館では室内飼育をしていて、外に出るまでには何重も扉があり、ペンギン舎の前室には蚊取り器も設置(トリーター日誌 2011/ 06/ 14 “蚊”取り)し、対策を講じています。

せっかく気温が下がって過ごしやすくなってきたというのに・・・
冬には鳥インフルエンザという驚異も近年気がかりになってきているので、安心できる時期が少なくなってきています。ペンギンたちはそんなことは気にしておらず、今年は繁殖行動を盛んに見せてくれています。
この時期ペンギン達は実にさまざまな行動を見せてくれるので、ぜひ気候の良いこの時期に行動盛んなペンギンたちを見に来てください。
夕方に外へ出歩く際は今しばらく、虫よけ対策を万全にして秋の夜長を楽しみましょう。

ペングィーン!

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