2013年10月16日
トリーター:石川

行動観察

時々、ペンギン舎の中でトリーターが立って何かを必死に書いている光景をご覧になられる時があると思いますが、その時はほぼ行動観察中だと思っていただいて間違いないと思います。

さてこの行動観察ですが、我々ももちろんおこなっていますが、今は実習生の方がおこなっていることが多いです。
さて、どういった意味があるのかというと、現在居る 22羽の詳細な関係を、より深く探るための重要なデータとなります。

私たち担当者はそれぞれの相互関係を常に把握できるようにしています。
誰が誰と仲がいいのか、誰が誰より勢力的に強いのか、誰がどこに縄張りを持っているのかなどです。
他にも個々の性格では、落ち着きがないのは誰か、おっとりしているのは誰か、喧嘩っ早いのは誰かなどなど、ご自身で同じペットを複数飼育されていれば同じようなことにお気づきになると思います。

毎年繁殖期を迎えると微妙にその関係に変化が出てきます。
たとえば今年でいうと、去年まで「ヒカル(♀)」より、「アカリ(♀)」へアプローチしていた「トップ(♂)」が今年は「ヒカル」に夢中だったり、去年まで繁殖行動へはあまり参加していなかった「キク(♀)」が今年はトップにくっついて歩いていたり、昨年までは縄張り争いになると参加していなかった「コハク(2008年生まれ)」が今年は「ノゾミ(2011年生まれ)」と一緒に積極的に参加していたり、若い個体が成長とともに繁殖行動へ参加してきたり、ペアの変更があった際に、微妙なバランスが変わってくるのです。
繁殖期に入ると例年新たな展開が見られ始め、行動観察を詳細におこなうことで、微妙な関係の変化や強弱関係などをより早く察知できペアリングや番(つがい)形成を把握することで、繁殖計画も立てられます。

また行動観察に慣れてくるとペンギンの会話?が見えてくるようになります。こうなると一挙一動を楽しめるようになります。
ペンギンたちも私たち人間と同じように行動にその時の感情が出ます。
たとえば通って行きたい場所の途中に自分より強い個体がいるとします。
普通であれば、やや遠回りをするか、知らないふり?をしてかすめ通って行こうとします。でも相手が気づいていて来るなよ!!っというような視線を送ると、一旦立ち止まって意味もないのに頭をかいてみたり、あくびをしてみたり自身の緊張をほぐすとともに、一旦時間を置いて相手の気をそらします。そこで相手の気がそれれば先ほどと同じ行動に出ますが、尚も嫌気を送っている場合は、どれくらい相手が強いかで変わってきます。
すごく強い相手の時はあきらめて別ルートで迂回したり、別の行動をとったりします。さほど強弱関係に差がなければ思い切って押し通ってみる場合もあります。どれくらい通りたいかにも行動に差が出ます。またその場所が相手の縄張りなのか、どちらの縄張りでもないのかでも行動が違ってきます。
ドラえ○んののび太くんとジャイアンの関係みたいです。人間の関係ととてもよく似ているのです。これはペンギンに限ったことではないでしょうが、あの 2足歩行の鳥がやるととても擬人化してみたくなるのです。

今までにも行動についていろいろお話ししたことがありますが、ぜひみなさんもペンギンの行動観察をしてみてください。
観察していて“クスッ!”って笑えるようになったら、あなたもペンギンマニアです。

ペンギン・アザラシ

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