2014年01月11日
トリーター:足立

えのすいクラゲカレンダー 2014 +αなコメント

えのすいクラゲカレンダー 2014 えのすいクラゲカレンダー 2014

新しい年になって、十日余りが過ぎました。みなさん、今年はどんなカレンダーをお使いですか?
新江ノ島水族館では、オリジナルのクラゲカレンダーをつくりました。1枚に 1個体。神秘的なクラゲの姿と向き合っていると、そのままクラゲとともにグランブルーの世界に吸い込まれていきそうな気分になります。
ハイクオリティーかつシンプルな作品なので、鑑賞のポイントを勝手に考えてみました。このカレンダーをお持ちの方は、ご参考にどうぞ。お持ちでない方、興味が湧いてしまったら、ぜひお求めください。


左/コティロリーザ・ツベルクラータ 右/カギノテクラゲ

1月 コティロリーザ・ツベルクラータ
「紫陽花? 帽子? UFO? こんなに可愛らしいクラゲがいるなんて、一度見たら忘れられないでしょう?」
透けて見えるオレンジ色は、餌の色。この写真、お食事中の 1枚ですね。傘の縁に眼点があります。なんだかカレンダーの中からこちらを見つめているみたいですね。あ、目が合った!
今月のことば:「食べものは、感謝していただきましょう。」

2月 カギノテクラゲ
「すみかは浅瀬の海草などの上。500円玉サイズでかわいいけど、痛い目にあいたくなければ気安く触らないで。」
この小さな生きものに、いったい何色使われているのでしょう? 触手も、付着器の部分で折れ曲がった先は色が変わるのですね。
今月のことば:「小さな新発見は、世紀の大発見かもしれない!」


左/ブラックシーネットル 右/ベニクラゲ

3月 ブラックシーネットル
「最長 6mにもなるクラゲ。夢が叶うなら、クラゲに隠れる稚魚のように、いつか大海原で一緒に泳いでみたい。」
新江ノ島水族館では、初めて手掛けているクラゲです。写真のクラゲはまだ成長途中のものですが、この先もっと黒っぽい色になってゆくのか、みんなで変化を楽しみにしています。
今月のことば:「なかまの成長を応援しましょう!」

4月 ベニクラゲ
「小さな体に秘められたミラクルパワー。『若返り』『不老不死』という人類の夢をすでに実現しています。ベニクラゲを研究することは、人類の夢をかなえる近道かもしれません。」
ベニクラゲの、いったいどの部分が若返るのか、実験したグループがあります。触手、胃腔、生殖巣、紅色の濃いところ、傘・・・。いったいどんな結果になったのでしょう?
今月のことば:「いま持っている能力でできることもたくさんある。」


左/エボシクラゲ 右/パシフィックシーネットル

5月 エボシクラゲ
「小さいながら、独創的な形と鮮やかな朱色がも印象的なクラゲです。一度見たらきっと記憶に残るでしょう。」
写真のクラゲは、かなり成長の進んだクラゲのようです。傘に、少し不透明な部分が縦に帯のように見えますが、ここが生殖巣です。雌雄は写真を見た限りではわかりません。この写真、伸びた場合は傘の高さの 3~ 4倍にまでなる触手が、らせん状にぎゅっと縮んでいる、ユニークな1枚です。
今月のことば:「考え方は人それぞれ。今の自分、そんなに間違ってない。」

6月 パシフィックシーネットル
「鮮やかな橙色をしていますが、これは薄い表皮の色。その下の中身は、本当に透きとおった無色透明です。」
新江ノ島水族館のパシフィックシーネットルは、すべて水族館育ちです。写真はほぼ実物大です。足の長い種類なので、半分ぐらい、まだ下があると思ってください。
傘や触手の色の鮮やかさに相対するかのように、口腕はほんのり桃色がかった乳白色です。 
今月のことば:「時には押す、時には引く、バランス感覚を磨きましょう。」


左/ビゼンクラゲ 右/キタクラゲ

7月 ビゼンクラゲ
「小さな生き物たちにとって、このクラゲは餌にも隠れ家にもなる、お菓子の家のような存在です。」
食用クラゲの中でも、最高級品とされている種類です。食材として漁獲されるのは、傘の直径が 60cmほどに成長したもので、写真のものよりも口腕の色が赤茶色に近くなります。根口クラゲの仲間で、傘の付け根の部分に、食べた餌が胃腔に送られていく水管が透けて見えます。
今月のことば:「相手との共通点を見つけましょう。」

8月 キタクラゲ
「たしか、こんな感じの人工衛星があったような・・・。」
生殖巣のひだが、白いドレスを思わせます。実際の傘の直径は 2.5cmほどですが、拡大してみると、そのドレープが一層優雅な感じに見えます。飼育下での繁殖がまだできないので、今のところは、年に 1回、夏に北海道の漁師さんから購入しています。
今月のことば:「品位ある所作を心がけましょう。」


左/タコクラゲ 右/ウリクラゲ

9月 タコクラゲ
「タコのように自由自在には動けませんが、明るい陽の光の下でプカプカするのが得意です。」
多数ある当館のタコクラゲの写真の中でも、よく使われる 1枚です。8本の棒状の附属器が、たまたま水流にあおられて左に流れ、楽しそうな表情になっています。
今月のことば:「なんでも楽しい方に考えましょう!」

10月 ウリクラゲ
「まるで、キラキラ光る飛行船。急にくいっと振り向いたり、ちょっと口を開けてみたり、意外に表情豊かです。」
下側に、逆「へ」の字のように開いている部分が口です。それを意識するだけで、なんだかこのウリクラゲに愛着が湧いてきませんか?口を半開きにして、お腹がすいているのでしょうか?櫛板が虹色に光っていますから、どこかに移動中です。
今月のことば:「たいてい、知れば知るほど好きになる。」


左/ミズクラゲ 右/サムクラゲ

11月 ミズクラゲ
「真昼の空の満月のようなクラゲ。海で出会う群れは意外にアクティブ。ただ流されているわけではないのです。」
この写真は、ミズクラゲのオスとメスを説明するために撮影したものだったと思います。保育嚢がしっかりわかるように撮影されているのはもちろんですが、選ばれたこのクラゲ自身も、傘の形、口腕の長さ等、モデルのような大変な美形のクラゲです。
今月のことば:「体の声を聴きましょう。」

12月 サムクラゲ
「蜘蛛の糸が舞っているかのような繊細な触手のラビリンスへようこそ。」
アルテミアを摂餌中のところを撮影したようです。口腕にオレンジ色の点々が透けて見えます。飼育下では、触手も口腕も、ぼわっと広げてしまうので、お客さまから「内臓みたい」「わけわかんない」などといわれたこともありました。
今月のことば:「いつでも大小さまざまなラッキーを受け取れるよう、心の準備をぬかりなく!」!

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