2015年05月21日
トリーター:鈴木

ウケグチメバルのその後・・

ウケグチメバルウケグチメバル

こんにちは、魚類チームの鈴木です。
魚類チームに異動したにもかかわらず 2回連続で海獣ネタを書き、鈴木が魚類のことをなかなか書かない・・。とお客さまにいわせてしまったきょうこの頃です。
すみません、今回はちゃんと魚類ネタ書きます。ではいきます!

採集日誌を読んでいただいたお客さまもいらっしゃるかもしれませんが、先月 4月 15日に湯河原にキンメダイ乗船採集に行ったんです。
その時の詳しい話は採集日誌をご覧いただくとして、その際におそらく“えのすい”初の種となるであろう「ウケグチメバル」というメバルの仲間を採集することができました。
採集日誌では現在バックヤードでトリートメント中と書かせていただきました。その後はどうなったのかといいますと・・

えー、現在はトリートメントをほぼ終え、いよいよ展示できるよう水族館生活への馴致トレーニング中です。
馴致トレーニング・・ なんとなく海獣っぽく大げさにいってみましたが、これは水族館で用意した(冷凍の)餌に餌付くように馴れさせている、ということなんです・・(笑)
それにしても、私の口からトレーニングという言葉が自然と出るとは・・ 自分変わりましたね。海獣の経験の賜物ですね!

余談はさて置き、とりあえず元気です。
水槽に入れた当初は、浮き袋の空気を抜く処理をした影響で(深場の種ゆえ、圧力の変化で釣り上げた際にパンパンに膨らんだ浮き袋が口から出そうになります)、浮力調節がままならず、うまく泳げないようでしたが、懸命にトリートメントを行い現在は元気な泳ぎを取り戻しました。
これで水族館の餌を食べられるようになれば、展示できる準備はばっちりなんですが・・。
同居させているユメカサゴたちは既に 2日目には餌をもりもり食べていましたが、(釣られて 2日目に餌を食べるのもすごいんですが・・)一匹だけいる本種はなかなか食べてくれず・・ 。
経験上、周りの魚が食べ始めるとつられて食べることがよくあるんですが、全く食べる素振りもありません。
まだまだダメージが残っているのか、または水槽の環境に馴れていないのか、引き続き観察と試行錯誤が続きそうです。
でも、そこが面白いところではあるんですけどね!(^_^)

あれ?まだ餌を食べていないということは、まさか 1か月以上何も食べていないの!?
と思ったみなさま、ご安心ください、自らで食べなくても方法はいろいろとあるんですよ。
やはり食べないとみるみる痩せて弱ってしまうので、食べもらうように努力します。もちろん、その魚にとって一番負担の無い方法でおこないます。
やや荒っぽいように聞こえますが、当然、飼育員には採集した時点で命を預かる覚悟と責任があります。とにかく元気な姿をお客さまに最大限に見ていただくこと。そして、その姿を見たみなさまが何かを感じ、その種を知るきっかけになってくれたら、種の代表として水族館で展示飼育する意味はあると思っております。
なので、とにかくみなさまに見ていただけるよう、ウケグチメバルにも頑張ってもらいながら、あらゆる手を尽くして 1日でも早く餌を自らで食べてもらい、みなさまの前に元気な姿をお披露目できるよう頑張りたいと思います。

今回は以上です。
おっ、なんだかようやく魚の飼育員っぽい内容になりましたね(笑)

すみません、最後に私事です・・。
イルカ・クジラ入門 11を書くきっかけをいただいたお客さま、とてもすてきなアルバムをありがとうございました。一生の宝物にいたします。
また、異動後に私の海獣時代の写真等をくださったみなさま、ありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。本当にどうもありがとうございました。
短い期間でしたが少しでもみなさまに受け入れていただけたことがとても嬉しかったです。
ぜひ、魚類の方で見かけた際には声を掛けていただけたら幸いです。その際には直接お礼をいわせてください。

これからもどうかよろしくお願いいたします。

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