2016年02月04日
トリーター:根本

メンダコ飼育準備

9年間勤務してこの様子を見るのは2回目9年間勤務してこの様子を見るのは2回目

深海生物の時期がやってきました! きのう、杉村さんと鈴木君が駿河湾の底曳網漁から帰ってきました。
気温も水温も深海生物採集に有利なこの短い冬( 1月~ 3月)くらいが、採集のチャンスです。メンダコをメインに、ミドリフサアンコウやキホウボウの魚 2種とミノエビやボタンエビ、アカザエビなどの甲殻類を狙っていきます。

メンダコは飼育が物凄く難しく、国内で 1か月以上飼育できた例はほとんどありません。各園ともこの人気の深海生物の飼育に挑戦していますが、もちろん、えのすいでも必死に飼育方法を模索しています。調べられる限りでは、新江ノ島水族館は現在のところは長期飼育記録のトップを走っています。と偉そうにいっても 48日間という日数です。長期といえるほどではないですが、最初は 2~ 3日しか生かせてあげられなかったのを振り返れば、少しずつ確実に技術は進歩しています。

杉村さんと鈴木君が採集に出ている間、留守番の私は水族館で水槽作りです。メンダコの飼育の場合、死んでしまう理由がイマイチつかめないことが多いので、何を改善すべきかが難しい所です。今の所“光を出来る限り当てない”ということと“ 7℃~ 10℃のやや冷たい水温で飼育する”というのが成功のカギになっているような気がしています。今回もこれにならって水槽を作っていきますが、今回は水槽の掃除を徹底してみます。

昨年、展示水槽で飼育していたメンダコが死んでしまった時、その体をよく観察するとゴカイが表皮を食い破って中に入っているのが見られました。生死のどの段階で食い破ったのかわかりませんが、これを見てしまった以上取りさらないわけにはいきません。展示水槽丸洗いをおこないます。

水槽の丸洗いというのは水槽の環境を崩すので、水温が低く水槽の熟成に時間がかかる深海の水槽ではあまりません。私も水槽を空にするのは何年かぶりです。
今回メンダコを展示する水槽は、いま展示しているオオグソクムシを砂に潜らせようと砂をいっぱい入れていました(全然潜らず企画倒れでした・・・)。この砂の量に加え、オオグソクムシではエサをやる際に魚を置きっぱなしにすることが多いためゴカイが大量に発生しています。掃除程度ではダメです。砂は全交換です。

掃除していくといたるところからゴカイが出てきます。ただゴカイも悪いばかりではないのですよ。長年の間、飼育員が掃除しきらない汚れを砂の中できれいにしてくれていたのでしょうね。感謝しつつ砂を取り去り、かわりに前回バックヤードで飼育記録をたたき出した際に使用していたヤシガラ活性炭を敷き詰め準備完了です。

掃除以外は昨年とほぼ同じ飼育方法で挑みます。
今年はどうなるでしょうか?

後はメンダコが無事採集できることを祈り二人の帰りを待ちます。


メンダコに食い込むゴカイ

石の下はゴカイの楽園

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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