2017年04月19日
トリーター:伊藤

マニアにおすすめの魚

みなさまこんにちは。
全くの私事ですが、最近とんと「今週のおすすめ」担当が回ってきません。
ということで、今回は「おすすめ担当がまわってきたら推したいなあ」と思っていたマニアな魚を、通常日誌の回ですが、いくつか紹介します。

ツバサハゼ
少し前から「今上陛下のご研究」のタナゴモドキ(何気にこちらもおすすめ)水槽に同居しています。
ハゼマニア垂涎の魚であり、扁平な体形、最大で 25cmともいわれるその巨体(展示魚はまだ幼魚)、ゴ○タ君みたいな正面顔と、まったくハゼらしくないところが魅力です。(写真/上)
急流に生息する魚ですが、飼育環境への適応力は高いみたいです。
学生時代から何度も南西諸島に出向いて魚採りをしていますが、本種はまだ一度も採ったことがありません(同行者が採ったものを見せてもらって ・・・羨ましかったですね)。それが毎日見られるのですから幸せです。

ハスジマハゼ


もう 5年以上前、深海担当だった時に調査航海下船場所の石垣島で採集した個体です。
ほとんど干上がった小石の下に、じっとしていたのが印象的です。
近年の研究によると、トビハゼやムツゴロウではない普通の「泳ぐタイプのハゼ」の中にも、不器用ながら湿地をはねて移動したりする例が示されています。
本種ももしかしたらそうかも、と思っています。
太平洋」の暖かい海のヘコアユ水槽に 1個体います。3年以上前に本水槽が私の担当していた「マングローブ展示」だった頃からの生き残り。
細々とですが、未だにそう痩せこけることなく、元気にしています。
これからもひっそりとたまの出会いを楽しみたい魚です。

タマカイ

タマカイことジャイアントグルーパー。これは、あえて触れないようにしていたふしもあります。
展示場所は「相模湾ゾーン」の相模湾キッズ水槽。タマカイは南方系の種で、まだ文献上は「相模湾未記録」のはずです。
昨年、某県内港に水揚げされ、神奈川県内の魚類研究者を驚喜させました。
いわずと知れた怪物で、サメ類のいくつかとマンボウに次ぐ、世界最大級の海水魚の一つです。
せっせと餌を与えていますが、案外成長がゆったりです。気長に育てて、顔つきや模様の変化を楽しみたい魚です。

最後にシラス

シラスサイエンス」がオープンしてはや1か月。展示水槽のシラスの一部が、いよいよ変態をし始めています。
これから数週間は、一般的にはまず目にする機会のない、シラス好きなら外せないおすすめタイミングです。
顔はみるみるイカツクなるのに体はまだ透明、胃袋はじわじわ銀色に、という具合に、どんどん変化していきます。ある種の深海魚っぽくもあります。
また、生理生態でもこの時期は不思議なことがいくつかあります。一部の個体だけ突出して成長が早かったり、群れの動きが、日によって水底すれすれでぼんやりした感じだったかと思えば、翌日は水面近くで密集してトルネードのように回転していたり、と目まぐるしく変化します。
繰り返しになりますが、真の見ごろはこれからです。
魚屋さんでもネット動画でも、ほとんど目にすることのない姿を、ぜひ見に来てください(魚の調子次第では急きょ変更する可能性もあります。ご了承ください)。

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