2017年05月05日
トリーター:杉村

今週のおすすめ

オオホモラ(脱皮中)オオホモラ(脱皮中)

白昼の脱皮劇
「オオホモラ」と「脱皮殻」


今週おススメする生物は「オオホモラ」。
長い脚と上に向かって伸びた鍵爪のような脚をもつ、カニの仲間です。
鍵爪のような脚には、何かをひっかけて背負いながら歩くようすが時折観察できます。
背負ったものでその身を隠しているのでしょうか・・・
時には、一緒に飼育しているヒトデも・・・

このオオホモラには、ちょっとしたおススメ話があります。
今を遡ること、20日ほど前の 4月 12日。
じつは、太平洋“冷たい海”の水槽の一画で「白昼の脱皮劇」がおこなわれました。
ひょっとすると、運よくこの脱皮劇をご覧になった方がいらっしゃるかもしれません。

朝 8時頃、私たちが開館前の朝の見回り中に甲羅の下側が割れ始めたオオホモラを見つけました。
脱皮中に触ってしまうとショックで脱皮に失敗して死んでしまったり、せっかく出てきた脚を自切してしまったりすることがあるので、この日はそのままにしてようすを見ることにしました。
お昼を過ぎて、13時頃にはほぼ新しい身体が見えており、ほとんどは抜けていたのですが、動きが悪そうだとの連絡もあったのでバックヤードに移動しました。



バックヤードへ移動した後は、問題もなくすぐに脱皮が終了しました。
脱皮後は、しばらくの間甲羅が柔らかいので固まるまで 1週間ほどしてから展示水槽に戻しました。

今では、元気に擬岩にしがみつきながら新しく付着物の無いきれいな身体を見せてくれています。
脱皮した個体は、大きな方のオオホモラです。


ちなみに脱皮殻は形を整えて乾燥させた後、深海Ⅱのしんかい2000の主推進器の下で展示しています。
太平洋の「オオホモラ」と合わせてご覧ください。
ひょっとすると・・・ヒトデを背負ったオオホモラが見られるかも。


太平洋

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