2016年05月08日

相模湾初島沖調査航海(4)4日目

  • 期間:2016年5月5日~2016年5月9日
  • 場所:深海生物調査
  • 目的:相模湾初島沖
  • 担当:杉村
HPDの着水風景HPDの着水風景


HPDの着水風景

海況も良く、予定通り最後の潜航が8:10より始まりました。
今日の調査場所は、1日目とほぼ同じ場所の水深 850~ 900m地点です。

大きな岩の張り出す崖の所々から、不規則にねじれ曲がったサガミハオリムシが 5~ 15個体ずつ束になって見られます。
きょうの海底には初日に見たカサゴの仲間は見られず、ソコダラが岩の隙間でゆったりと泳ぎ、小さなゲンゲの仲間が体を丸めて浮遊しています・・・何かの擬態なのでしょうか。
ヒドロクラゲは時折拍動しながら浮遊しています。

そうこうしているうちに岩の張り出しの陰から「ヤキソバ」が見えてきました。
数年前の相模湾の航海日誌でも紹介したと思いますが、「ヤキソバ」とは、アレイズハオリムシ属の1種の事で、本当にヤキソバのように縮れて岩の下から生えているハオリムシの仲間のことです。
きょう見た中には、アフロヘアかと思うくらいにきれいな球形に近い群落もありました。
結構きれいで、思わずHPD備え付けの水中デジタルカメラで写真を撮ってしまいました。
アフロヘアを過ぎるとシロウリガイのコロニーへ。
ここでは、長い海底観測をおこないます。
HPDは着底したまま1時間ほど特に作業ができないので、コロニー内を観察しておりました。
するとエゾイバラガニがメインカメラに写り、徐々にHPDに近づいてきたので観察を開始。
すると、彼はおもむろにシロウリガイを持ち上げました。
おおっ!!そのまま食べるのか(大発見か?)と思いましたが、さすがに殻は固く重いのか、食べられないと思ったのか、落としてしまいました。
ちょっと残念・・・
さらに観察をしていると今度はシロウリガイの死殻を受け皿のように使って泥をすくうように口に運んで食べていました。
この泥の中には小さなゴカイの仲間がすんでいるので、それらを食べているのかもしれません。
器用にハサミを使っているのがよく分かりました。
普段の調査では、シロウリガイが中心ですのであまりエゾイバラガニをじっくりと観察することがなかったので、きょうは良い観察ができました。
こういった海底での実観察が大きな発見や飼育のヒントになるんだと感じました。

航海最後の調査潜航でしたが、天候も荒れることなく、観察情報だけでなく実験用のサンプル採取も順調におこなうことができ、非常によい調査潜航でした。
参加研究者のみなさま、ありがとうございました。

さて、あすはいよいよ下船です。
毎回最終潜航日は、HPDが揚収されるとどことなく寂しさを感じます。
あすは朝早くから、下船のため生物サンプルの梱包作業が待っています。
今夜は早く休みたいところですが、、、まだ作業が。

では、またあした。


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KS16-04「新青丸/ハイパードルフィン」による深海生物調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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