2010年07月03日
トリーター:伊藤

海辺の虫採り


今年も昆虫採集のシーズンがやってきました。毎年一度は似たような話をしていますが、今年は 8月より展示の予定もありますので、いつもよりちょっと力を入れて楽しむつもりです。

さて、海の虫と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはおそらくフナムシでしょう(ここでイソジョウカイモドキだとかルリエンマムシが浮かんだ方はちょっとマニアックです)。ゴキブリを連想させる素早い動きと、大群で岩肌にびっしりと張り付く様子は、人間の心の奥底の恐怖心を呼び起こします。今回は理詰めでフナムシの悪い印象を払拭してみたいと思います。

まず、フナムシは昆虫ではありません。ゴキブリとは縁遠く、カニやエビなどと同じ甲殻類、ダンゴムシに近い仲間です。ちょっとですが、泳いだり、水底を歩いて活動することもできます。
とても美味しいらしく、魚や鳥などの良い餌にもなっています。私も昔、これを釣り餌に使って、イシダイの子供を釣ったことがあります。
家に住み着くゴキブリとは違って、それほど不衛生ではありません。打ち上げられた海藻などを食べる掃除屋さんで、海辺をきれいにしてくれます。
黒くて地味な印象ですが、脱皮したての個体は体のふちが鮮やかなオレンジ色に輝き、なかなか美しいです。ちなみに、脱皮は「上半身」と「下半身」を順番に脱ぎます。
きれい好きで水や岩肌の汚れには弱い面を見せます。飼育難易度はかなり高く、つねに水槽内を掃除して清潔に保たなくてはなりません。
さて、肝心な「採り方」ですが、追いかけて捕まえるのは大変です。水をかけると動きが一瞬にぶるので、お試し下さい。たくさん集まっているところを網ではくようにするのもアリですが、肩や頭にふってきても責任はとれません。

現在、7月のテーマ水槽で本種の展示をスタートしていますので、好きな方も苦手な方も偏見を捨てて、「カニの仲間」だと思いながらご覧ください。

フナムシフナムシ

テーマ水槽

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