2012年02月06日
トリーター:加登岡

Heterodontus japonicus


これはある生物の学名です。

それは・・・ ネコザメです。

当館でも 1月29日に卵からふ化した赤ちゃんが誕生しました。今はペンギン水槽前のテーマ水槽に、卵と一緒に展示しています。大きくなると約 1mにもなるネコザメも、手のひらサイズでとてもかわいいです。
ネコザメの卵はらせん状の特殊な形をしています。
実はこの形には意味があるんです。
卵がふ化するには 1年近くかかります。
ふ化するまでの時間がかかればかかるほど、その間に卵が狙われる危険性も高くなってしまいます。
そこでネコザメは産卵したら、その卵を岩と岩の間に埋め込みます。産んだばかりの卵の殻は柔らかく、時間が経つと固くなります。
柔らかい時に岩の隙間に入れ、硬くなるとらせん状のひだが引っ掛かり岩から抜けなくなる仕組みです。
これで潮にも流されないようにし、外敵からも守っているんですね。

ネコザメの名前の由来は、頭が丸くて頬に膨らみがある姿が猫に似ていることからネコザメという名前がついたといわれています。
また英名のJapanese bullhead shark は、目の上の隆起が牛の角に似ていることから bullhead(雄牛の頭)と呼ばれています。
国が変われば見た目の印象も変わるんですね。

一方学名はというと、属名 Heterodontus は『異なった歯』という意味があり、種小名の japonicus には『日本の』と意味があります。
ネコザメの歯は、前の歯が小さな尖った歯に、奥の歯が平らで大きな歯をしています。
前歯で獲物を捕まえ、奥の歯で潰して食べるのです。
サザエなどの堅い殻も潰して食べてしまうことから、サザエワリともいわれています。

ネコザメには学生時代にお世話になりました。
初めてサメの解剖をしたのがネコザメでした。
そして、サメの顎の標本を作ろうとして外で乾燥させていたら、カラスに持って行かれてしまったのもネコザメでした・・・
作るの大変だったのに・・・

サメなのにサメっぽくない!?顔をしたネコザメを見に来ませんか?
そして何に似ているか確認してみてください。

あなたは猫派?牛派?それとも・・・

ネコザメネコザメ

テーマ水槽

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