2013年03月22日
トリーター:石川

フンボルトペンギンの餌 2


前回、餌と繁殖、産卵についてのお話しをしました。
その中で餌のより好みの話しがありましたので、そのあたりのことをお話ししましょう。

餌の好み
好き嫌いのあるペンギンは、好きな餌を食べるために巧みな?戦法を考えます。
もう一人のペンギントリーターが日誌で「ハク」の好き嫌いについて触れていましたが、「ハク」についていえば、好きな魚があることがわかると、嫌いな魚はクチャクチャかんで捨ててしまうのです。
つぎに同じ魚を与えられることもわかっていて、
「グチャグチャじゃあたべられないし・・・」
といわんばかりにグチャグチャにしてしまうのです。
それでも好きな魚が出てこないと、今度は魚を差し出しても見えないふりをする・・・のような行動をとります。
くちばしを開けず、くわえようともせず、ちょっと目線をそらしたり、ひどい時には身体ごと向きを変えたりします。
しばらく繰り返していると仕方なく食べ始める場合もありますが、大抵は計画的に?か最後の方に寄ってきて、残りの魚があまりない状態で、かんで捨てる行動を始めます。
どれくらいで食べ始めるかわからないので、そのあとのペンギンの餌がなくなる可能性もあり、ここでトリーターが根負けして別の魚を与えてしまうとペンギンの思う壺です。
これで自分の好きな魚が食べられれば、ペンギンの戦略勝ちです。
トリーターによって根負けする基準が違えば、こいつはいける!こいつはダメ。という順位さえつけているようにも思えます。

嫌いなものは一切食べないペンギンもいます。
こうなると嫌いな魚は食べものではなく、物扱いです。
ここまでいくとその魚を与えることは困難です。
少しくらい体重が落ちて空腹な状態でもまず食べようとはしません。
何がそんなに嫌なのか教えてほしいくらいです。

好き嫌いをしないように工夫し、良かれと思って与えていても、高齢個体などでは脂質の多い魚を好まない時があります。
我々でいう胃もたれをおこしやすいのかもしれません。
逆にいえば、ちゃんと自身でコントロールできるようで、この場合、好き嫌いなのか、身体のサインとして今は食べたくないのかを見分けないと体調を崩す原因になりかねません。

これらの好みの違いは、今までの私たちからの給餌に影響を受けているものと思っていましたが、それだけではなく親から餌をもらっている時の食べさせ方などから波及して、より好みにつながっている可能性もあるようです。

バックナンバー
2013/02/20 フンボルトペンギンの餌 1

フンボルトペンギンフンボルトペンギン

RSS