2013年07月31日
トリーター:杉村

JAMSTECとの共同研究「シロウリガイの長期飼育実験」その 3

シロウリガイ シロウリガイ

「シロウリガイ飼育日数100日越えた!!」

今年 4月 10日から始まりました「シロウリガイの長期飼育実験」。
前回の6月の時点では「 68日目です」とお伝えしましたが、本日 7月 31日現在、100日を超えて 112日を経過しました。
これは、昨年記録した 153日に次ぐ 2番目の記録です!!
何とか飼育継続中で、ちょっとほっとしています。
現在、確認できる個体は 3~ 4個体程度と少なってきてしまいましたが、飼育水槽内の泥の中に埋まって水管という管を出しています。
シロウリガイは砂に埋もれたアサリのように、泥中から水管だけを出していることがあるので、もう少し生存していることも考えられますが・・・(どうか、そうあってほしい・・・)。

これまでの日誌やホームページ内で紹介してきたように、鰓に共生している微生物の働きで海底から湧き出る硫化水素(毒ガス)を利用して生きていることは、みなさんにも伝えられてきたかなと思っていますので、今回は省略します。
シロウリガイの「凄さ」を伝えるために上述の化学合成に関することばかり、話してきましたが、今回はちょっとシロウリガイのちょっと意外で「へえ~」な話をしたいと思います。

先に「砂に埋もれたアサリのように・・・」と書きましたが、この深海性のシロウリガイは、実はそのアサリやハマグリに近い仲間の二枚貝なのです。
では、その味は・・・
定かではありませんが貝柱は食べられるらしい・・・(ホタテっぽいとか・・・)。
硫化水素を利用して生きているわけなので、とても硫黄臭い・・・です。
そして、このシロウリガイの血は「赤い」!!
生きているシロウリガイを観察していると泥から出している水管が、赤いことに気づきます。
アサリなどの一般的な貝類の血液は透明に近い青色ですが、シロウリガイの血液の中には我々と同じように「ヘモグロビン」があるため、血が赤いのです。
同じ貝類でも深海という特殊な環境(高圧・低温・暗黒そして低酸素)で生き抜くためには、共生細菌の住居となる「巨大な鰓」と「真っ赤な血」が必要なんですね。
深海生物とは、なんとも興味の尽きない生物たちです。
ですが深海生物もよく観察し調べていくと、実は私たちの身近な生き物たちとはどこかでちゃんと繋がっているんですね。
ちょっと、彼らを身近に感じで頂いただけたらうれしいです。

JAMSTECとおこなっている飼育環境の測定実験は順調に進んでいます。
解析結果が出るのはまだ先ですが、どんな結果が出るかは楽しみ待っていてください。
もちろん、シロウリガイの長期飼育への挑戦はまだまだ続きます。
153日達成の 9月 10日まで、あと 41日・・・。

・・・飼育は、記録では無いことを戒めつつ・・・

バックナンバー
2013/ 04/ 13 シロウリガイの長期飼育実験スタート!!
2013/ 06/ 17 JAMSTECとの共同研究 その 2「シロウリガイの長期飼育実験」

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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