2009年04月24日
トリーター:伊藤

泥の海を訪ねて( 5)


3年目の大変身なるか

シロスジコガネ

甲虫好きならばはずせない?日本が誇る極美の海浜昆虫です。
海浜植物や防砂林が豊富な砂浜や干潟の周りに暮らし、海沿いにお住まいの方は、初夏に網戸に飛んできたものをつかまえた経験もあるかもしれません。
つかむとキイキイなくので「ナキカナブン」と呼ぶ人もいます。
生活に特殊な環境が必要なため、日本各地で激減、絶滅している「一昔前は普通だった希少種」。
神奈川県でも絶滅が心配される種に指定されています。

この昆虫、2年前の小窓水槽でほんの一時、展示したことがあります。
成虫の飼育はとても難しく、つかまえてきた次の日には絶命していることも珍しくなく、餌などほとんど口にしてくれません。
しかしあの時、実は水族館の裏側で、本種の産卵が成功していたのでした。

それからは、たまにようすを見ながら業務の合間に世話をおこなってきました。
幼虫は少しずつ大きくなりましたが、なかなか成虫になる気配がありません・・・
卵からふ化して 2回目の年越しを経て、久しぶりに観察してみると、土の中に作られたくぼみの中で幼虫がビシッと「気をつけ」の姿勢。
私がもっとも苦手なこの姿は、もしや「前蛹」?
予想は当たり、数日後にはケース越しに見えている幼虫たちが次々と蛹(サナギ)になっていました。
あと少し、もっともデリケートなサナギの時期を乗り越え、成虫となった姿を見せてくれることを願うばかりです。

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道路に飛来した成虫道路に飛来した成虫飼育下で産卵飼育下で産卵

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