こういった夜のイベントでは館内を消灯したとしても、たいてい多少の明かりを残しますので、トリーターが見ている完全な夜の生き物の状態にはなっていないことがあります。
ですが、このイベントでは、本当に徹底的に真っ暗にするので、生き物たちの動きが、ほぼトリーターしか見ることができない“夜”になっているんです。
“えのすい”ではトリーターが夜のトラブル対応として、毎日1名水族館に泊まり、深夜にライトを手に各水槽の見回りをするのですが、本当にその状態に限りなく近いと思います。
初めてこのイベントを見たトリーター時代、館内だけでなくバックヤードまで完全に暗くなっており、ここまでするのか・・と驚いたことをよく覚えています。
他ではなかなかここまで完全に暗くなった水族館を見ることはできないので、これだけでも参加する価値は十分にあるかと思います。
では、そんな真っ暗な水族館で、生き物たちはどんな動きをしているでしょうか?
普段砂に潜ってまず出てこない夜行性のエイやウミヘビの仲間は泳ぎ回っています。
岩陰に隠れじっとしているエビやカニ類は、活発に動き回ります。
岩礁水槽には夜にしか出てこない超隠れキャラの極太ウナギが一匹いるとかいないとか・・(出会えたらラッキーです)。
昼間、規則的に泳いでいるカタクチイワシは夜にしきりに水面付近にぶつかるように泳いでいきます。これは産卵行動です。
相模湾大水槽では夜にマイワシを襲う夜行性の捕食者が活動を始めます。
そのため、マイワシの群れはより一層緊張感を増し、ぎゅっと強固に団結し、昼間よりもさらに自然界さながらの美しい群れの動きを見せてくれます。
一方、カラフルな暖かい海の魚たちは、夜には黒っぽくなりサンゴや岩の隙間に隠れています・・・へぇー、となるのはまだ早いですよ。
お手元のランタンでそっと照らしてよく見てみてください。完全に黒一色ではなくコントラストがあり、まだら模様になっていたり、赤っぽくなっていたりすることに気が付きます。
カラフルな熱帯魚が暮らす浅場の海には、月明かりで影ができます。
まだら模様の方が実は黒一色よりも目立ちにくいんです。
また赤い車が闇に溶け込むと黒い車以上に見えづらくなるのと同じで、実は、赤色というのは、夜に紛れるのに適した色なんです。
などなど・・、挙げたらきりがありませんが、最後にこの写真をご覧ください。
この水槽は、相模湾ゾーンにある漁港水槽ですが、ここに寝ている魚が何匹いるかわかりますか?
正解は5匹です。
細長いのはニジギンポでロープに沿ってうまく隠れて寝ています。
アミメハギは静止しているのではなく、歯でロープにつかまって流されないようにして寝ています。
そして、一番難しかったと思いますが、黒いブイの根元に隠れて寝ているのはサザナミフグの子どもです。ぴったりのところを見つけたようですね(笑)
ちなみに、丸で囲ったタツナミガイ(右)とアカオニナマコ(左)は夜行性なので、夜に動き回ります。
こんなシーンがダークアクアリウムでは目白押しです。
季節によっても生き物の生活のリズムやサイクルが違いますし、展示も日々更新されていますので、我々も予想していない発見が毎回あり、楽しみ方は無限大です。
初めて参加される方はもちろん、2回目以降の方も、寝ている場所や動いている魚の種類が変わり、何度でも楽しみや発見は尽きません。
ダークアクアリウム、おすすめです!
限りなく静かで真っ暗な夜の水族館。
小さな明かりひとつ。
ゆっくりと夜の生き物のようすをのぞいてみませんか?
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
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