昭和天皇、上皇陛下の海洋生物研究は、葉山の御用邸から相模湾周辺の海を中心に修められました。
昭和天皇は昭和4年からヒドロ虫類の研究を始められました。採集は葉山御用邸付近の相模湾の浅瀬と沖合いでおこなわれ、採集船は「三浦丸」「葉山丸」(昭和31年まで)、「はたぐも」(昭和46年まで)、そして最後が「まつなみ」を使用し、採集にはヒドロ虫類が磯や海底の岩に付着する生物であるため、水深300mまでの海底ドレッジを使いました。陛下ご自身で調べられたヒドロ虫類の御著書は9冊です。
上皇陛下は長年ハゼ類の分類の研究をされています。上皇陛下は昭和38年の「ハゼの肩甲骨について」の研究をご発表なさって以来、ご論文の数は30編に及びます。最近は頭部感覚器官系などと分子進化的方法とを比較したハゼ類の系統進化の研究もされています。上皇陛下はまた、[日本産魚類大図鑑](初版、昭和59年)と[日本産魚類検索-全種の同定-](初版、平成5年)のそれぞれのハゼ類の項目のところを、共同で執筆されています。
秋篠宮皇嗣殿下は、現在、魚や鶏をはじめとした生き物と人間との関わりについて研究をされています。タイ、ラオス、中国雲南省などに足を運ばれ、調査活動に従事されました。メコン河の固有種である世界最大級の「プラー・ブック」とよばれるオオナマズをはじめ、ナマズをめぐる漁業や食文化、説話、保護などについて、幅広く研究してこられました。また、ナマズをめぐる日本人の価値観や文化について調査をおこなっておられます。