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雄オタリアの「マルコム」、毎週の体重測定が楽しみです。
楽しみの理由はその成長ぶり。
トリーターの大きく成長して欲しいという願いの通り、順調に体重を増やしております。
直近のデータは 3月3日で142.4kg、食欲も衰えることがないので、もっと大きくなりそうです。
現在は 1日に 11kg以上の魚を難なく完食しています。
“えのすい”のアシカたちは 各自 1頭分の餌を 1つのバケツに用意できるのですが、「マルコム」のみ 2つのバケツを必要としています。
量だけでいうと、ハナゴンドウの「ビーナ」よりも多くの魚を食べています。
イルカ・アシカショー「きずな/kizuna」に参加しているミナミアメリカオットセイのメンバー「ルシア」、「セシ」、「アポロ」、「ライラ」と見比べようものならその大きさは群を抜いております。
もちろん、種類や雌雄の違いもあるので体格差はあって当たり前ですが、「マルコム」1頭の体重と 4頭のミナミアメリカオットセイの合計体重を比べてみたら、「マルコム」の方が 0.1kg大きいという結果になりました。
見た目は大きいですが、ちょっと臆病なところなどはまだ若さかなと、そのギャップも私の好きなポイントです。
もっと大きくなって、雄オタリア特有のたてがみ姿を見たいものです。
「えのすいトリーターとさかなたちのふれあいタイム」にデビューしてから、半年ほど経ちました。(「えのすいトリーターとさかなたちのふれあいタイム」は相模湾大水槽で不定期開催しているミニプログラムです。)
はたして私自身が上達しているかはさておき、紹介できるメンバーを増やすべく、トレーニングしています。
その魚はマツカサウオです。
なんで、マツカサウオなのか… それは、マツカサウオの中にこの子ならいける!と思わせる子がいたからです。
相模湾大水槽では普段ダイバーが潜水しながら、ごはんをばらまいて給餌をしています。
その時に、ごはんがたくさん入ったケースを持っているとトリーターの近くまで来てくれる子がいたのです。
それを見てこれならいけるかもしれないとトレーニングを開始しました。
トレーニングを開始するにあたって課題がありました。
まず、トリーターの手から直接ごはんを食べてくれるのかどうか。
次に、相模湾大水槽の正面のアクリルガラス面まで来てくれるかどうかという2点です。
第一の課題、手から直接食べてくれるかどうか。
マツカサウオが大好きなオキアミを手に持ち、いざ出陣!
…見事撃沈しました。
普段、ケースからごはんがばらまかれ、その中から食べています。また、トリーターの近くまで来てくれると書きましたが、警戒している部分もあり、トリーターからある程度の距離を保って接近して来ませんでした。よく考えてみたら、ばらまかれ待ちをしているので、極端にトリーターに近づく必要もなかったのです。
そのため、いきなりトリーターが手に持っているよくわからないオキアミは食べてくれませんでした。
そこでまずは警戒心をとる工夫をしました。
どうしても食べてもらいたくて、こっちから手を伸ばしてしまいそうになりますが、そこは我慢。相手から来てくれるのをひたすら待ちました。もちろん手に持っている状態では食べませんので、こっちを向いている時に、パッと手を放し、少し漂ったオキアミがマツカサウオの前に行くようにして、食べてもらいました。
しかし、ここでも問題がありました。マツカサウオは相模湾大水槽にいる魚たちの中でも体が小さい方です。さらに泳ぐのも遅い方に入ります。そのため、他の魚たちが集まって来てしまうと慌てて逃げてしまい、オキアミも横取りされてしまいます。
そのため、他の魚たちにバレる前にそっとトレーニングをしなくてはなりません。
これが意外と難しい。トリーター慣れしている魚たちがたくさんいるので、ごはんを発見するとずっと付きまとってきます。その後ろの方でマツカサウオがようすを伺っていることが多々ありました。
しかし、タイミングを見計らって繰り返し給餌をしているとだんだんと距離が縮まっていき、ついにその瞬間が来ました。
手に持っているオキアミを… バクッ!?
世間はそんなに甘くありません。まさかの問題が発生…
マツカサウオは口を瞬間的に大きく開けてごはんを丸飲みにして食べます。
そのため、手に持っていたオキアミごと僕の指も口に入れてしまいました。指があっては飲み込めないので慌てて吐き出します。
ごめんよ。肝心なことを忘れていたよ…
それでもマツカサウオは果敢にもう一度チャレンジしてくれました。その時は絶妙なタイミングでオキアミを離し、オキアミだけを食べてもらう事ができました。
その後は警戒心がとれたのか手からどんどん食べてくれるようになりました。
次の課題、相模湾大水槽の正面のアクリルガラス面まで来てくれるかどうか。
マツカサウオは相模湾大水槽に何匹かいるのですが、それぞれお気に入りの場所があるようで、だいたい同じ場所にいます。
トレーニングをしているマツカサウオは、私たちが「丸窓」と呼んでいる、魚眼レンズのようになっているアクリルガラス面の近くによくいます。
ここから相模湾大水槽のメインのアクリルガラス面まで移動しなければなりません。
マツカサウオのトレーニングをして分かったことは、1つオキアミを食べると、飲み込むのに時間がかかっているのか、間があります。その間に他の魚たちがわらわら集まり、そうこうしているといつものお気に入りの場所に帰ってしまします。
こんなんで、正面まで移動できるのか不安になりました。
ただ、何事も繰り返しが大切ですね。定位置に戻ってしまっても何度もアピールして、連続でオキアミがもらえることに学習してもらいました。そうすることで、定位置に戻らずに、1つ食べた後でも私の近くで留まってくれるようになったのです。そして、ちょっとずつ私が泳ぐとそれについて気てくれるようになりました。
ちょっとずつ…ちょっとずつ…
ある日いきなり変化が!
トリーターが水槽にいることに気づくとアピールしなくても来てくれるようになったのです。そして、相模湾大水槽の正面まで来てくれました。最初の頃の警戒心が嘘のように、最近では接近しすぎて困るくらいです。写真を撮っても近すぎてピントがあいません。
今日は「サンゴの日」にちなみサンゴのお話をします。
昨年は「サンゴの日」にイベントを用意していましたが、直前で急遽新型コロナウイルス感染予防対策のために休館になってしまいました。
今年も緊急事態宣言発出中で、開館はしているもののイベントの実施は厳しい日が続いています。
ですが、この日はサンゴをアピールしたい!ので、サンゴの日誌を書きます。
サンゴは、動物です。
姿を見ても、あまり動かないし、オブジェのように見えるかもしれません。
“えのすい”には生きているサンゴが入っている水槽と、サンゴの骨格が入っている水槽と、サンゴに似せて作ったオブジェが入っている水槽があります。
よく見比べてみると、生きているサンゴは柔らかい体ががあり、伸ばした触手が水流で揺らいでいたりします。
体の色もやや透き通っていたり、鮮やかな発色があったりして美しいです。
動物ですので、動きます。
ただ、夜行性であることや、動きが派手ではないのでなかなか気付けません。
触手を使って小さなエビなどを捕らえて食べたり、スイーパー触手と呼ばれる毒のある刺胞がたくさん仕込まれた攻撃用の触手で他のサンゴを攻撃したり、砂に潜って移動をするサンゴもいます。
暖かく浅い海にくらすサンゴは、死んだあとの炭酸カルシウムの骨格がサンゴ礁と呼ばれる地形をつくり、サンゴ礁と生きているサンゴの群落が多くの魚やエビカニなど他の生き物たちのゆりかごになっていることで、海の生態系を支えています。
しかし、昨今の海洋環境の変化についていけずサンゴの死滅が進んでいる地域もあり、環境問題を考える題材として注目されています。
きっとこの環境問題に関わるニュースでサンゴの話を聞いたことがある方は多いのでは。
生物で岩石を作り出せるのは、サンゴと有孔虫と放散虫くらいです。
サンゴ以外の2つは微小なプランクトンです。
サンゴは大きく成長することができるので、その体で島を作り上げてしまうこともできます。
すごい生き物です。
さて、そのサンゴは神奈川県でも見られます。
“えのすい”のサンゴ水槽は、逗子沖水槽とも呼んでいます。
オレンジの鮮やかな体と黄色い触手が美しい、キサンゴやイボヤギなどのダイビングで潜れば出会えるサンゴたちです。
このサンゴたちは積極的に餌を捕まえて食べるので、毎日エビの汁を細長いピペットで与えています。
これらのサンゴは、相模湾でよく見られます。
深海に潜ると、過去の記録では宝石サンゴの仲間であるモモイロサンゴやエノシマサンゴが生息しているよう。しかし、現在の相模湾では、それらの生物を採取する漁業がなく、研究の記録も少ないため海の底にどのようなサンゴがいるのか、謎に包まれています。
サンゴ礁を作るようなサンゴはもっと南の温かい海に多いのですが、相模湾にもわずかにいます。
キクメイシモドキという種類は、寒さに強く、濁った海でも大丈夫という比較的丈夫なサンゴで、相模湾の浅瀬で稀に見ることができます。
冬の海水温が下がらなくなってきたことで、海藻が減り、これらの造礁サンゴが増えているのでは、という疑惑もあります。
その実情を調べるために、現在“えのすい”では潜水調査をおこなっています。
結果が出るまでは何年かかかりそうですが、そのときにはみなさまにもお知らせしますのでお待ちください。
また、丹沢の山の上には、かつてここが南の海から流れてきた島だった証であるアオサンゴやキクメイシなどのサンゴの化石が見られます。
サンゴと一口に言っても、いろいろなサンゴがいます。
クラゲを出すサンゴの仲間もいます。
“えのすい”にお越しの際には、そんな奥深いサンゴの生きている姿に注目してみてください。
みなさん“えのすい”には何頭のアシカやアザラシがいるか知っていますか?
私が入社した6年前は全部で9頭生活していましたが、現在ではオタリアが5頭、ミナミアメリカオットセイが5頭、ゴマフアザラシ4頭の計14頭が生活しています。
さてタイトルにもあるように、ミナミアメリカオットセイの「アポロ」と私、本格的にコンビを組んで4年近くになります。物覚えが早いのですが、最近は警戒心が特に強くなり、ちょっとした環境の変化などでショーに出られなくなることがあります。
“えのすい”に何度も来ている方なら知っているかもしれませんが、最近のイルカ・アシカショー「きずな/kizuna」に私の担当のアポロは参加していません。
それは去年の11月の終わりです。いつものように外の部屋に移動するために廊下を歩いていたときです。急に何かに驚き、一目散に自分の部屋に帰っていきました。
先日、新江ノ島水族館のだいぶ遅めの深海生物の収集が始まりました。
というのも、毎年1月の下旬から駿河湾の底曳き網漁に乗船してメンダコをはじめとする深海生物の収集が始まりますが、今年は年明けからコロナと強風の影響で、タイミングが合わず乗船が延びに延びて先週の2月末にやっと船に乗ることができたんです。
コロナの影響でせっかく魚が獲れても、売れないために船も風が吹くと無理をしてまで漁に出ていないんだそうです。
漁業とコロナって一見すると関係なさそうですが、実はいろいろなところで影響が出ていますね・・・。
今年は、このまま一回も乗船できずにシーズンが終わってしまうのか・・・と内心思ったくらいです。
ちなみに駿河湾の底曳き漁のシーズンは、10月の中旬から始まり、場所によっては3月の半ばから5月くらいまで行われます。
何だ、まだまだ先まであるじゃないか…と思われるかもしれませんが、年明け前と4月頃では海水温と気温が高く、深海生物を生きたまま水族館へ運ぶことが難しくなるため、収集の実質のシーズンは、水温も気温も低い年明けから3月中旬までのたった2カ月ほどなのです。
今年の第1回目は、残念なことにメンダコが採集されることが無かったのですが、その代わりではありませんが、採集数の少ないオキナエビ、アカツノチュウコシオリエビ、ヤマトトックリウミグモ、トゲヒゲガニなどを入手することができました。
本日から深海Ⅰにて公開中です。
※状態によっては、短期間展示になることがありますので予めご了承ください。
ゴマフアザラシの「ワカ」が、3月27日に7歳の誕生日を迎えます。
ちょうど今朝の体重は77.5㎏で、“えのすい”にやって来た時よりも2倍以上にまで成長しました。毎日3.5㎏くらいの魚を食べて、元気に過ごしています。
「みなさんにワカのことを覚えてほしい!」
その一心で、ワカの魅力をみなさんにお伝えすべく、日々いろんなことに挑戦しています!
最近、少しずつ上手になってきたのは、左右の前肢を重ね合わせるポーズです。
まだその時々で、しっかり重なっていなかったり、顔が後ろの方を向いちゃったりすることもありますが、私の気持ちがワカにうまく伝わるととても嬉しい気持ちになります。
ちなみに、今回写真を撮るまでチャレンジしたことはなかったんですが、仰向けの状態で合図を出してみたら、こんな風に応えてくれました!
ちゃんと重ね合わせようとしていますよね(^^)
最近、相模湾キッズ水槽にムカデメリベが仲間入りしました。名前だけ見ると想像つかないかもしれませんが、外観的にはちょっと透明感のある生八つ橋のような生き物で、ウミウシの仲間になります。
ウミウシの仲間はきれいな体色と奇抜なスタイルのものが多く、ダイビングでよい被写体になっています。お客さまからの問い合わせもしばしばある人気の生き物ですが、飼育は容易ではありません。その多くが食性がよく判っていなかったり、偏食過ぎて餌の入手が困難だったりするのです。
多くはカイメンの仲間やヤギ類などの刺胞動物を食べているようですが、中にはクモヒトデやゴカイの仲間を食べる種類もいます。地味ではありますが、アメフラシやタツナミガイはアオサを中心に海藻を食すので、比較的飼育しやすいです。ただ、アオサなども時期がありますから、大量に発生する時期に採集して冷凍保存をしています。また、ウミフクロウなどのように動物質のものならとりあえず摂餌するものもいます。
ムカデメリベはエビなどの節足動物を食べています。
動きが遅いウミウシにエビを捕らえることができるのか、ちょっと疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、ムカデメリベのエビ採りは一見の価値があります。
メリベの頭部には頭巾縁(口唇縁)という伸縮する丸い膜があります。この膜の上にはカタツムリの目のような触角がついていてちょっとユーモラスです。
エビを捕らえるときには、この頭巾縁を大きく広げて投網のようにエビに覆いかぶせます。このようすはまるで大口を開けてエビに襲いかかっているようです。スピードは遅いのですが、ちょうどエビが感じないくらいの速さなのでしょうか、結構上手く覆いかぶせることができます。
エビが頭巾縁に入るとゆっくりと膜をすぼめて水を出し、奥にある本当の口に運んで丸飲みにします。膜の縁には毛状の突起がたくさん生えていて、一度入った獲物を逃しません。
普段は隅の方でじっとしている地味なムカデメリベですが、運が良ければエビ採りをしている所をご覧いただけるかもしれませんよ。
「その動物の武器は何か、どうすれば喜ぶか、何をしたら怒るのかを知ること」
これは以前、先輩トリーターに貸していただいた本の中に書いてあった言葉です。
最近、短い時間ではありますが、ショーの中でコンビを組むメンバーが増えてきました。
今までは、私の担当でもあるバンドウイルカの「ミュー」とコンビを組むことが多かったのですが、新たに「ミレニー」、「ルイ」、「ニコ」、「リン」ともコンビを組むようになりました。
最初に紹介した一文のように、それぞれのことをもっと知りたいと奮闘中なのですが、
「楽しそうなとき、つまらないときはどんなとき?」
「得意なこと、苦手なことは?」
「プールのどこの場所が落ち着くのか?」
「誰の近くだと安心するのか?」
など、まだまだ分からないことだらけです。
それでも、「どんなところに注目して動物たちと向き合うと分かってくるのか」をアドバイスをもらいながら、一つでも新しく発見できるととても嬉しくなります。
さらに、各担当トリーターの動物たちとの向き合い方や考え方も知ることができて、刺激的な毎日です!
そして現在、次にショーでコンビを組むために練習を始めたのが、バンドウイルカの「サワ」です!
こんにちは、八巻です。
今年もやってまいりました!深海生物採集の季節です!
冬季は表層の水温が下がるので、深海生物のすむ水深と表層の水温差が少なく、より良い状態で採集できるのです。
ですから、毎年この時期は底引き網漁の漁船に乗船させていただき、深海生物採集を行います。
底曳網漁ではメンダコはじめ さまざまな種類の生物が混獲されるので、それを漁師さんから分けていただいているのです。
しかし、冬季は海が時化ることも多く、なかなか予定通りに乗船できません。
今年も何度も予定が流れ、ようやく本日初乗船となりました!
とはいっても、今回乗船するのは私ではなく、深海班の他のトリーター 2人が行ってくれています。
私は水族館に残り、持ち帰ってきた生物の搬入を手伝う係です。
実は去年は全て乗船組だったので、今回は初めて搬入組として生物の帰りを待つことになりました。
乗船組は今日の未明から底曳き漁船に乗船し、一日かけてさまざまな生物をキープしてきてくれます。
この時期はたとえ出航できても揺れることが多く、船の上は過酷です。
しかし、貴重な機会を最大限活かすことができるよう、準備万全で臨んでくれています。
朝 無事乗船の知らせが届いてから、続々と近況報告が届き、どうやら順調に深海生物採集を行えているようです。
夕方には無事生物を積み込んでこれから帰るとの連絡がありました!
私たちは乗船組がキープしてきた生物を、できるだけ効率よく良い状態で搬入するのが仕事です。
夕方乗船組から大体の採集生物リストが届くので、その生物をどの予備水槽へ搬入するか、リストを作成して整理します。
とある朝の一枚。
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