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えのすいトリーター日誌

2020.05.31 トリーター:佐野

2020/05/31 ウミガメプール大掃除


この臨時休館中は私たちトリーターも出勤人数を極力減らし、感染拡大防止に努めて参りました。そのため、なかなか大がかりな作業ができなかったのですが、先日、営業再開を前にウミガメプールの大掃除を実施しました。普段は完璧にすっきりさせるのが難しいので、終わって砂一つないプールを見ると、非常に達成感がある作業なのです。



でも、だいたいその直後にアオウミガメが日光浴で上陸し、また砂を入れてしてしまうのですが…。
今回は砂浜部分の植栽の整備も行いました。最初はなかなか根付かなくて心配したハマエンドウも、今や他の植物と熾烈な縄張り争いを繰り広げています。たくましいです。

本日より新型コロナウイルス感染拡大防止のための対策を講じて営業再開いたします。これまで約3か月間お客さまにお会いできなかったことで動きの変わった生き物もいます。彼らの行動は今後どうなっていくのでしょうか。

ウミガメの浜辺


2020.05.30 トリーター:岩崎

2020/05/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その5 カタクチイワシ

カタクチイワシ
カタクチイワシ

梅雨入り前の季節に紹介するのは、関東地方のお魚屋さんで“シコイワシ”と札に書かれて並んでいることが多い、カタクチイワシ(Engraulis japonicus)です。
カタクチイワシは、日本沿岸各地の表層に生息しているイワシの仲間で、成長しても18cmくらいまでの小型な魚です。

この時期は、岸近くの浅い海域を回遊することが多いので、初心者にも簡単に釣れることから、防波堤でのサビキ釣りの対象として人気です。
ウロコがはがれ落ちて、身も皮も柔らかいため、手開きで簡単にさばくことができます。
うま味と脂たっぷりのお刺身は、舌の上でとろりと溶けるように口いっぱい広がります。
からりと揚げ物にしたり、たたいてつみれにしたりしてもおいしいので、たくさん釣れた時は、さまざまな料理にチャレンジしてみてください。

大型魚を釣る際に生き餌と使われたり、カツオの一本釣りでは撒き餌と使われたり、食用以外にも、漁業資源として重要な魚です。
相模湾で漁獲される湘南名物の“シラス”は、主にこのカタクチイワシの仔魚のことで、料理のお出しに使う煮干しは、“カエリ”と呼ばれるシラスから変態したカタクチイワシの稚魚が主な原料です。
生活史のあらゆるステージで、食物連鎖を底辺近くで支えているのが、このカタクチイワシです。

寿命は2~3年なので、成熟までの期間が早く、食べつくされてしまう前にどんどん繁殖していくのが、カタクチイワシの生き残るための戦略です。
新江ノ島水族館では、卵からシラス、煮干しサイズのカエリ、親のカタクチイワシまでの生活史を、シラスサイエンスで展示公開しています。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休館していましたが、5月31日から営業再開です。
生きているシラスが見られるのはとても珍しいので、ぜひ“えのすい”でご覧ください。

バックナンバー
2020/04/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その4 カンパチ
2020/03/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その3 チダイ
2020/02/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その2 ワカメ
2020/01/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その1 ヒラメ

相模湾ゾーン


2020.05.30 トリーター:小森

2020/05/30 違和感は現実に


前回のトリーター日誌では無事ファミリーで生活できるようになった旨をお伝えしましたが、半月ほど経った頃から実はちょっとした違和感を覚え始めました。
[ 2020/04/04 一家離散の危機!? ]

きっかけは4月23日。
なんだか朝から「カシワ」がイライラしている気がするぞ?
試しにごはんの時間に体を触るトレーニングをやってみたところ、案の定バクッと噛まれてしまいました。

それからちょっとずつ「カシワ」の行動が気になるように。「カシワ」1頭だけ別行動をしてる時間が多かったり、ごはん待ちの状態がみんなと違かったり。かと思いきや家族仲良く遊んでいたり。


こんなことは初めてなので、私が心配し過ぎなだけ?と思いながらも、いつものように人の胴長で体を拭きに来る「カシワ」に「なあに?そろそろ独り立ちしたいの?」なんて話かけたりしていました。

そして5月8日、とうとうその日がやって来ました。
家族仲に変化はなかったためそのまま同居を続けていたのですが、5月8日の朝、突然お父さんとのけんかが始まったようです。その連絡を受け取った時、とうとう「カシワ」の独り立ちの日が来たんだな、と、仕方のないことだと分かっていてもちょっぴり寂しくなりました。

※コツメカワウソの群れは前日まで仲が良くても、突然けんかしてしまう事例が飼育下では確認されています

みなさんに5頭一緒の姿をもう一度見ていただきたかったな…
「カシワ」はお嫁さんをもらうのかな…それともお婿に行っちゃうのかな…
お婿に行ったら黒留袖着て親族代表で泣きながら生まれた時からの思い出スピーチしちゃいそう…
あぁ、どんな子が生まれるのかな?(気が早い&あくまでも私の妄想です)

ご安心ください、お見合い話はありませんのでまだまだえのすいファミリーの一員です!
独り立ちは「カシワ」の成人式だと思い、第二のカワウソ生を立派に全うできるよう、これからも変わらずサポートしていきたいと思います!

一人暮らしを始めた現在は意外と快適なようで、バックヤードで今までと変わらずゆったり過ごしています。
個人的にとても共感。おうちも大好きなのですが、一人暮らしもなかなか快適ですよね。


掃除中のスタッフにちょっかいを出したり、おっさんのような不思議な座り方を披露してくれたり、深めのプールではしゃいだり、たまに遊びにくる「オモチ」と「サクラ」に挨拶したり。日々笑いを提供してくれています。



この日は寝転がりながらキャットフード食べてました。自堕落すぎるぞ「カシワ」…(笑)
 

一人暮らしは始まったばかりなので、私たちもどのように快適に過ごしてもらおうか日々奮闘中です。
どんな形になるかはまだわかりませんが、みなさんの前にも出られるように「カシワ」と一緒に励んでいきたいと思います!
いつかはお父さんたちと交代で展示エリアで遊べるように、とも考えていますので「カシワ」ファンの皆さま、今しばらくお待ちくださいね(^^)

※「ミサキ」にいくつかおはげができていますが、けんかによる怪我ではなく別件の健康診断帰りですのでご安心を!


2020.05.29 トリーター:杉村

2020/05/29 開館に向けて、新たな展示も!!

チョウチンアンコウ
チョウチンアンコウ

新たな展示とは・・・それは、みんなのあこがれる「深海生物」の標本の展示です。
どんな深海生物かというと・・・

実は、臨時休館中の4月の初めに新江ノ島水族館へ「チョウチンアンコウ」がやってきたんです!
大きさは13㎝と小さめでしたが、江の島地先の定置網に入網した個体を、地元の漁師さんが持って来てくれました。
残念なことに水族館にやってきた時は、すでに死亡していて体の右側面に傷がありましたが、とても貴重な個体でした。
それは・・・新江ノ島水族館でも、1967年の初搬入から数えて53年間で、なんと今回で3例だけなのです。
※3例のうちの1個体(大きさ約30cm)はすでに標本の展示をしています。
死んだ個体ですら入手が難しいチョウチンアンコウですから、すぐにホルマリンに付けた液浸標本にして保管しました。
そして、今回開館に向けてきれいに整えて展示を行うことになりました。

チョウチンアンコウは、まさに深海魚の代名詞のようになっていて、知らない人はいないのではというくらい有名な深海生物ですが、実はその採集例は全国でも非常に少なく、詳細な生息場所やその生態については、まだまだ謎だらけです。
まして、生きて採集されることなどは、ほとんどありません。
私たちも、チョウチンアンコウを探しに何度も調査に出ましたが、採集されたことはありません・・・。

今回は、これまでのリュウグウノツカイやメンダコなどの標本に追加して、この4月に採集されたチョウチンアンコウの他に「ミツクリエナガチョウチンアンコウ」、「バーテルセンアンコウ」、「コウモリダコ」の標本展示も行います。

いつかは、生きたチョウチンアンコウを飼育することを夢見て!

標本を見るだけでも、一見の価値のある深海生物たちを集めました。
“えのすい”に来られました際には、「あこがれの深海生物たち」をご覧ください。


ミツクリエナガチョウチンアンコウとバーテルセンアンコウ

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-


2020.05.27 トリーター:唐亀

2020/05/27 カピバラジオ

「ヒナタ」「ココロ」
「ヒナタ」「ココロ」

休館が続き、お客さまのいない館内が静かで生物に変化が見られていることは以前お伝えしましたが、実はカピバラのココロにも影響が出ておりました。

ココロはヒナタに比べやや気が小さく、ちょっとした周りの変化でビクついたり、固まったりするのですが、ここ最近の静けさに慣れてしまい、突然大きな声が聞こえたりするとびっくりしてしまうのです。
これは館内だけではなく、外の通路での話し声などにも反応してしまいます。ヒナタはそんなことはありませんが、リハビリとして最近ラジオをかけるようにしています。

初日は驚いてプールの裏に身を隠していました。しばらくしていつも通り砂場に行きましたが、リラックスせず頭を上げてキョロキョロ。常に両耳はラジオに向いていました。
今ではかなり慣れて来ましたが、お客さまが来館されるようになったらまたビビるんでしょうね。でもいずれ慣れると思います。その時が来ましたら温かく見守ってあげてくださいね。


2020.05.26 トリーター:森田

2020/05/26 水中でパシャリ!


5月に入り気温も上がり、日差しもだいぶ強くなってきて毎年恒例の悩む季節になってきました。
そう! プールを真っ黒にしてしまう「コケ」です。
何度かコケ取りのようすや風景をトリーター日誌で報告させてもらっていましたが、今回はイルカたちが泳いでいるプールの掃除風景を紹介していこうと思います。

いつもはイルカたちを別のプールに移動させてから行っているコケ取りなんですが、ブリーディングプールの子イルカはまだ移動ができません。
最初はびっくりしないように慎重にプールに入り、プール底のコケをゆっくり落としていき、時間もあまり長くならないよう20分~30分程度で終わらせます。

初めて入ったときの子イルカは少し興奮しており、プール内を早く泳いでいました。それを見て母親のシリアスは「大丈夫よ」と言っているかのように子イルカに寄り添ってゆっくり泳ぐよう誘導していました。

コケ取りを何日かに分けて複数回行っていくと、子イルカもだいぶ慣れてきてこちらを見るようになってきます。
かなり距離をとって泳いでいたのが、最近ではかなり近くまで来るようになりました。生まれた瞬間のぎこちない泳ぎを思うと、この1ヵ月で本当に上手に泳ぐことができるようになったと思います。
この元気な泳ぎを見てもらえるよう僕たちトリーターもコロナに負けず“えのすい”で待っています。

イルカショースタジアム


2020.05.25 トリーター:櫻井

2020/05/25 見られることなく成長したカワイトヒキクラゲ

カワイトヒキクラゲ
カワイトヒキクラゲ

最近テレビでよく休館、休園中の水族館や動物園のようすがとり上げられていますね。
生物のお世話はさすがにリモートでは出来ません。“えのすい”でも、飼育の人間は最少人数で出勤して生物たちと向き合っています。

約 3か月間という、先の見えない長い休館の間、水槽を転々とした種がいます。
カワイトヒキクラゲです。
東南アジア産で飼育条件が他の種と少し異なったり、気難しいところがありますが、一匹だけすくすく成長してくれました。
先ずはファンタジーホールの一番小さな水槽へ。
この一番小さな水槽でも、一匹だけだと小さすぎて展示できないと思っていました。
ところが日に日に大きくなり、みるみる収容しきれないくらいにまで成長してくれました。
次は、円柱水槽です。さすがにこの大きな水槽では小さすぎる・・・ と思いきや、またまたぐんぐん成長してくれました。
4~5日ぶりに出勤することもありましたが、1.5倍くらいに成長していることもあり、糸状の付属器も数十センチも伸びていました。


早くお客さまに見てもらいたい、と思いながらカワイトヒキクラゲの成長を見守っていました。
今では成長のピークを過ぎ、少しずつ傘の形が崩れてきています。
今回、このカワイトヒキクラゲは、成長過程をみなさんに見られることはありませんでした。

みなさんにお願いがあります。
在宅ワークなどが増え、お家にいる時間が長くなった機会に、生物を飼育し始めたという方が増えたそうです。
今回が、生物に興味を持つきっかけとなってくれたのであれば、とても素敵なことだと思います。
生物にとっては、私たちの事情は関係ありません。
普段の日常に戻っても、どうか最後まで面倒を見てあげてください。
普段の日常が、これまでとは違うものに、生物と一緒に変わっていければ、素敵ですね。

クラゲファンタジーホール


2020.05.24 トリーター:矢作

2020/05/24 この漢字の生き物はなんでしょう ~第三弾~


えのすいトリーターの矢作です!

行きたい場所に行けず、会いたい人にも直接会えない、今まで当たり前にできていたことができない毎日が続いていますね。
そんな中、私は流行りのオンラインお茶会や飲み会など、国や地域を越えた人たちと、画面越しの再会を楽しんでいます。
みなさんはどんな毎日をお過ごしですか。

2020/01/22 この漢字の生き物はなんでしょう ~第一弾~」、そして「2020/02/22 この漢字の生き物はなんでしょう ~第二弾~」に続く、第三弾です。
第一弾、第二弾のご紹介から少し日が空いてしまったので、どんな生き物を取り上げていたか、気になる方は合わせてチェックしてみてくださいね!

今回ご紹介するのは、こちらの生き物たち!
この漢字の生き物はなんでしょう。
ヒントは、「えのすいで暮らしている生き物」です。


阪東海豚・海驢

みなさん分かりますか??
それでは、担当トリーターとともに答え合わせです!


バンドウイルカの『ルイ』・『サワ』と加登岡トリーター

『阪東海豚』・・・ 正解は『バンドウイルカ』です。
(坂東海豚や半道海豚(ハンドウイルカ)などと表記することもあります。)
バンドウイルカは世界中の水族館で飼育されていて、最もよく知られているイルカではないでしょうか。
『海豚』は文字通り、海中に棲んでいて、からだが豚のように丸みを帯びているようすから名付けられました。
加登岡トリーターとともに撮影に協力してくれたのは、2頭のバンドウイルカ『ルイ』と『サワ』。ステージの上に上がって近くまで来てくれました。


続いてはこちら!


オタリアの『マミ』と伴野トリーター

『海驢』・・・ 正解は『アシカ』です。
(葦鹿や海馬などと表記することもあります。)
オタリアは、鰭脚類のうちアシカ科に分類されます。
『海驢』は文字通り、海に棲む驢(ロバ)に由来しています。
ちなみに、植物の葦(アシ)の生えているところに棲む鹿(シカ)という語源もあるそうです。

由来については、諸説あるお話の中からご紹介させていただきました。

さあ、これまでさまざまな生き物をご紹介してきましたが、いかがでしたか。
次回も、また違う生き物をご紹介します!


最後におまけです。
1日の終わりに、ふと足を止めて撮影した 1枚。
当館から見えた数日前の夕日でお別れしたいと思います。


イルカショースタジアム


2020.05.23 トリーター:黒川

2020/05/23 思い出のキンメダイ

キンメダイ
キンメダイ

みなさんこんにちは!
今日は私にとって思い出の魚「キンメダイ」をご紹介したいと思います。

それは今年のまだ寒さの厳しかった日、私は先輩達に誘われて初めての船釣りに行きました。
狙いの魚は「キンメダイ」。
キンメダイは水深の深いところにくらす、真っ赤な体に黄色い大きな目が特徴の魚です。
みなさんも名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。食べるととても美味しい高級魚でもあります。

まだ真っ暗な朝5時頃に出発し、船が出たのは6時頃。
曇った灰色の空の中、荒れた海を沖へ沖へと1時間ほど進んでいきます。
どこかにつかまってないと船から投げ出されそうなほど船に揺られて、キンメダイが釣れるポイントを目指します。
こんなに荒れた海に出るのも初めての私は、先輩からもらった酔い止めの効果もむなしく、到着するまでにもう十二分に酔っていました。

寒さと気持ち悪さで震える手を動かしながら、やっとの思いでエサの切り身をつけ、キンメダイがいる水深300mまで糸を下ろしていきます。
「竿の先が震えた瞬間を見逃さないように! 竿から目を離さないでね!」と船長からアドバイスをいただいた瞬間、竿がビクッと震えました!
意識がもうろうとする中、私はその瞬間を見逃しませんでした。
全意識を指先に集中させて、ゆっくり遅すぎず早すぎないスピードでリールを巻いていきます。
そしてあがってきた糸の先には…立派なキンメダイがついているではありませんか!
「すごい! 黒川さん一番に釣った~」と先輩に言われ、にやにやが止まりません。
私は、今年一番のキメ顔をしながらキンメダイを空高く掲げます。
「キンメダイ、釣ったど~~~~!!(心の叫び)」
その瞬間、初めて釣れたという嬉しさ、喜び、達成感と同時に吐き気が一気に込み上げてきました。

そしてその約5時間後、私は帰路に着くまで目を覚ますことはありませんでした…
(私が寝てる間、先輩たちは流石としか言いようのない腕前でクーラーボックスいっぱいにキンメダイを釣ってたようです。起きてその量にびっくりしました。)

家に着いてから一眠りして、やっとの思いで釣ったたった1匹のキンメダイを半分づつお刺身と煮つけにしていただきました。
「キンメダイはどんな食べ方をしても美味しいよ!」と聞いていた通り、お刺身も煮つけも私の疲れた体をまるで浄化していくような、膝から崩れ落ちるほどの美味しさでした。

休館中、館内を見回っている時にキンメダイの大きな瞳と目が合うと、船上での苦い記憶と同時に、涙が出るほど美味しかったあの味を思い出します。


長くなりましたが、開館した際には私の思い出の魚「キンメダイ」をぜひ見に来てください。

ちなみに、あれからもたびたび「落ち着いたら釣りに行こうぜ~」と誘ってもらいますが、もうしばらく釣りはこりごりの黒川です。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-


2020.05.22 トリーター:伴野

2020/05/22 母獣管理


みなさん、こんにちは!
4月 21日にバンドウイルカの『シリアス』が出産して早一カ月が過ぎました。
出産については羽田トリーターが日誌で書いていますので、ぜひご覧ください。

出産についていつから妊娠していたの!? と驚いた方もいれば、えのすい通の方の中には、『シリアス』が開館中に何やらいろいろな検査をしていたので、妊娠していることに気付いていた方もいらっしゃると思います。

以前からお客さまには、イルカの繁殖や妊娠個体の管理の話を聞きたいとご意見をいただいていたので、今日は妊娠中に『シリアス』が行っていた検査について書きます!
少し難しい話が長くなります。ご了承くださいませ・・・


その1 超音波診断


超音波検査風景

妊娠判定、胎児が問題なく成長しているか、心伯の確認、母体内での胎児の位置などを超音波検査で見ていました。


2019/06/06 獣医にて胎児初確認


2019/10/09 頭の大きさ 6.5cm


2020/03/23 頭の大きさ 14.1cm

胎児がしっかりと育っているか、判断材料として胎児の頭蓋骨の大きさがあります。
これまで新江ノ島水族館で記録された胎児では、出産直前に 約 14cm程度になることがわかっています。
今回の子も頭の大きさは順調に成長し、出産前では 約 14.1cmまで成長しました。
妊娠中期頃になると心臓が動いているようすも確認でき、獣医が動いているのをチェックしていました。


胎児頭大横径の推移


その2 胴回り、乳裂間測定

胴回り計測部位
(良い写真や計測風景 撮っていなかった・・・すみません)

母獣の餌料を決めるために、胴回りを測定していました。
妊婦さんも出産に近づくにつれてお腹がおおきくなりますよね。
本来餌量決定には体重がとても参考になるのですが、私の力量不足で妊娠中期ごろより体重測定できなくなってしまったので、餌量は胴回りが緩やかに上昇するように決めていました。
過去に『シリアス』が妊娠していた際、出産前の胴回りは 約 170cm程度でした。
今回もそれに向かって減りすぎたかな~、増えすぎたかな~と試行錯誤していました。
約 100日前頃より値が減少しているのは、給餌量を落として調整したためです。
出産直前には 約 180cmまで大きく上昇しています。
いきなりこんなに増えることはないと思われるので、母胎内で胎児が出産に向けて位置を変化させているのかもしれませんね。
この辺は超音波画像などと一緒に調べたらおもしろそうですね。



その3 乳裂間測定

乳裂間測定風景

乳裂とはイルカのお腹側、尾鰭の前あたりに 2本ある溝のことで、乳頭が中に入っています。
ちなみにメスのイルカにしかないので、外見からオス、メスを見分けるには、ここを見るとよいですよ。
では、なぜ乳裂を測定しているのか。
それは正確な出産日を予想するためです。

一般的にイルカたちは、出産の直前に体温が下がることが知られています。
しかし全ての個体で確実に下がるわけではなく、個体差があったり、同じ個体でも毎回きれいに体温が下がるわけではありません。
そこで体温測定とあわせて乳裂を測定することによって、出産日予想の精度を上げています。
出産日が正確にわかると、私たちトリーターも事前に準備ができたり、24時間観察のスケジュールが立てられたりと、出産を万全な状態で迎えることができます。
『シリアス』では以前出産直前 5cm程度まで開いたことがあったので、今回も 5㎝以上になったら 24時間観察を始めようと決めていました。


今回も 5cmを越えた翌日に、出産を迎えています。
理由は母体のホルモンバランスの変化により、生殖孔が開くためかもしれません。
もちろん体温測定も行っていますが、この乳裂の結果もあわせて出産に備えて準備をしていました。

いかがでしたでしょうか。
血液検査や体温測定に加えて妊娠中は獣医と、そして『シリアス』と連携してこのような検査を行っていました。
妊娠後期では一緒にいるときに『シリアス』のお腹が内側から動いたり、胎動を確認していたので、早く会いたいー!と思っていました。
母子ともに問題なく産まれてきたときは、本当にホッとしました。

妊娠個体をメインで担当するのは今回が初めて。
上手く検査ができない日々が続いたときは、『シリアス』との信頼関係がどんどん悪くなっているのではないかと悩む日々も多かったです。
妊娠個体は給餌量の設定や、反応の見極め方が通常個体とは異なることを痛感し、『シリアス』に動物のコンディションを見極めることの大切さを改めて教わりました。
色々教えていただいた先輩方にも感謝です。

また、データは取って終わりではなく、それらをしっかりと活かすこと、そのためにはどのようにして正確なデータを取るか、『シリアス』の協力のもとに考えることができました。
今回誕生した子の成長をしっかりと見守るのはもちろんのこと、今回の経験をいつかまた妊娠個体に関わることがあれば、役に立てたいと思います。

長くなりましたが、本日はこの辺で!!

関連日誌
2020/05/02 新しい命の誕生
2020/05/12 赤ちゃんの成長日誌

イルカショースタジアム


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