2009年12月
第50回 日本動物園水族館教育研究会 大洗大会
北田 貢 他
子どもボランティアから学ぶ深海解説
○北田 貢(1), 伊藤 寿茂(1), 根本 卓(1), 北嶋 円(1), 倉田 桂子(2)
(1) 新江ノ島水族館
(2) なぎさの体験学習館
要旨
新江ノ島水族館ではJAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)との共同研究のもと,潜水船を使用して採集された深海生物の展示を行っている。
当館には体験学習施設「なぎさの体験学習館」が併設されており,水族館内生物を使ったワークショップを開催している。
2008年8月25日~8月30日にかけて,子供たちだけの深海生物展示および解説「深海研究室展示~子供ボランティア運営~」が行われた。
開催10日前までに深海生物の解説や飼育を行う子供ボランティアを募集し,小学生2年~6年生の計15名が集まった。
子供たちはユノハナガニ,オオグソクムシ,深海クラゲ,トラザメ,ウミホタルの中から担当生物を選び,10日間で展示,解説,飼育の準備を行った。
深海生物の情報は飼育者から一方的に流さず,子供たち自身で調べ,分からないことは質問をまとめて飼育者に質問を行った。解説は水槽周りに掲示する文章,イラストだけではなく口頭による解説も作成した。
2008年8月25日から6日間,「深海研究室展示~子供ボランティア運営~」を開催し一般の方々に見ていただいた。口頭による解説は各生物1日3回,計15回行われた。
子供たちによる展示解説は普段研究者側からは見られない視点から捉えたものがあった。特に子供だけによるユノハナガニの飼育は世界初であり,眼柄の有無,複眼の殻甲への埋没,色彩等しっかり捉え,子供たち目線により分かりやすく図示されていた。
身近なものと比較して伝えてゆく方法は,化学合成生態系生物をはじめとした解説板で小見出しとして取り入れた。
今後は館内だけでは無く,出前授業や一般公開を行う研究所などで役立ててゆきたい。