2011年09月
第17回 日本野生動物医学会大会(口頭発表)
寺沢 文男 ・ 鯉江 洋 ・ 茅野 裕樹 ・ 森田 成将 ・ 志村 真由子
バンドウイルカにおける超音波検査を用いた肺の観察
寺沢 文男(1), 鯉江 洋(2), 茅野 裕樹(3), 森田 成将(1), 志村 真由子(1)
(1) 新江ノ島水族館
(2) 日本大学生物資源科学部獣医生理学
(3) ソニックジャパン
要旨
近年、我が国の水族館においても、飼育下鯨類の臨床の現場では超音波検査の導入は行われている。
しかしながら、早期妊娠診断、胃内異物などの確認を行っている程度に過ぎず、描出した画像の解析を十分に行っていないのが現状である。
北米や我が国において、飼育下鯨類では肺炎が多いことが知られている一方、ヒトや小動物では肺の描出は難しいとされている。
そこで今回、バンドウイルカの肺に重点をおき、超音波検査の基礎的な観察を行なった。
新江ノ島水族館で飼育している、バンドウイルカ(オス2頭、メス8頭)における月2回の定期超音波検査の結果を用いて画像解析を行った。
使用装置はソノサイト社製マイクロマックス、腹部用コンベックスプローブを用いて、中心周波数は3.5MHzで検査した。
健康時に描出した肺の胸骨側では、ヒトの肺水腫の診断指標である、肺表面を基点とした高輝度に反射をするコメットサイン様所見(Bライン)をほとんどの個体で認めた。解剖学的な反射部位の特定と併せて、正確な範囲の把握が求められる。
一方、肺炎が疑われた個体では、肺全体が白く解像度は低かった。
なお、本研究は、京都大学野生動物研究センターの共同利用・共同研究として実施された。





