2021年06月14日

実は新種だった!
水族館で人気の「ギヤマンクラゲ」

  • 展示開始日:2021年6月16日(水)~
  • ギヤマンクラゲ (義山水母)
  • 学名:Tima nigroannulata
  • ヒドロ虫綱 軟クラゲ目 マツバクラゲ科 ギヤマンクラゲ属
    傘の直径 8cm
  • 展示場所:皇室ご一家の生物学ご研究

新江ノ島水族館と鶴岡市立加茂水族館は、ロイヤルオンタリオ博物館(カナダ・トロント)、アメリカの海洋調査探検隊(Ocean Research Explorations)、ハワイ太平洋大学(アメリカ・ハワイ州ホノルル)と共同研究を行い、日本の水族館ではおなじみの「ギヤマンクラゲ」が、実は新種であることを発見しました。

ギヤマンクラゲは新江ノ島水族館が世界で初めて繁殖に成功し、現在では日本各地の水族館で展示されています。
ギヤマンクラゲの「ギヤマン」とは、オランダ語で「ガラスのように透明」という意味を持ち、その名の通り透き通った美しい体をしているため、水族館で展示されているクラゲの中でも人気の高い種類です。

日本では、1925年に初めて出現が記録されてから現在まで、北アメリカで見られるTima formosa と同種だと考えられていました。しかし、本研究で遺伝子解析や詳細な形態観察をすることによって、これまで記載のない新種のクラゲであることが分かりました。
そこで、新たな学名を Tima nigroannulata (ティマ・ ニグロアニュラータ)とし、特徴を記載して発表しました。

本種の最大の特徴は、傘の縁に沿って黒色素顆粒があることです。
Tima formosaや他のギヤマンクラゲ属のクラゲとは、最大サイズや触手の数、傘の縁にある黒色素顆粒の有無などの違いによって見分けることができます。

本研究は、日本とカナダ、アメリカとの国際的な協力関係によって得られた成果です。
昨今の世界状況においても、このように力を合わせて研究し、科学的な知見を得ることができたことは新江ノ島水族館・鶴岡市立加茂水族館にとって大きな一歩と言えます。

※この研究成果は2021年6月10日に学術雑誌「Zoological Science」でオンライン公開されました。

発表論文について
[掲載誌]
Zoological Science ※2021/6/10にオンライン上で公開
[論文タイトル]
Tima nigroannulata (Cnidaria, Hydrozoa, Eirenidae),
a new species of hydrozoan from Japan
(日本産の新種 Tima nigroannulata (刺胞動物門、ヒドロ虫綱、マツバクラゲ科))
[著者]
Dale R. Calder[1]、Gerald L. Crow[2]、池田 周平[3]、足立 文[4]、山本 岳[4]、Anita Harrington[5] and Brenden S. Holland[2][5]
[1] ロイヤルオンタリオ博物館
[2] アメリカ海洋調査探検隊(Ocean Research Explorations)
[3] 鶴岡市立加茂水族館
[4] 新江ノ島水族館
[5] ハワイ太平洋大学 

皇室ご一家の生物学ご研究

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