
海表を漂いながら生活するウミウシといえばアオミノウミウシやその仲間たちが有名ですが、このヒダミノウミウシもその一種として古くから知られています。
本種は世界中の海で見られ、アオミノウミウシなどのように自らが浮くのではなく、流木や軽石、ギンカクラゲやカツオノカンムリなどの漂泳性のクラゲ類など、海面を漂う浮遊物に付着して生活します。
本種はその名のとおり「みの(背側突起)」にひだがあることが特徴です。餌は漂流物に付いているエボシガイや自らが付着しているクラゲなどで、食べた物の色によってみのの色が大きく変わります。
長らく、世界中に分布する単一種と考えられてきましたが、近年の研究によって複数の
隠蔽種(本来は別種だが、外見上の区別がつかないため、同一種として扱われていた種)の存在が示唆されており、まだ謎の多いウミウシです。
今回展示しているヒダミノウミウシは、えのすいの目の前の砂浜で、大量のギンカクラゲと共に漂着し、採集されました。みのが青色ではないため、おそらく採集された際に同所で付着していたエボシガイの仲間を食べて生活していたのだと考えられます。めずらしい種ではないようですが、水族館での展示例や飼育例は非常に少ないです。ぜひこの機会にご覧ください。
※短期間の展示となる可能性があります。ご了承ください。
えのすいトリーター日誌
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2025年10月05日 憧れのウミウシ ]