アジアアロワナは、恐竜がいた 1億年以上前からほとんど姿を変えずに生きてきた現生古代魚です。非常に硬くて大きなうろこと、水面付近の小魚や昆虫などを捕らえるための上向きの大きな口をもっています。
東南アジアに分布し、地域によっては金や赤の派手な色を帯びるものは観賞魚としても人気があります。
しかし、今回ご紹介するアジアアロワナは、1983年にカリマンタン島の中部カリマンタン州にて発見されたもので、色彩こそ控えめですが、幼魚のうちは薄赤い色の尾びれが、成魚になるとオレンジ色または黄色のどちらかに分かれて染まり、体側の大きなうろこ一枚一枚には成長とともに「馬蹄(ばてい)」状の模様がくっきりと現れるという不思議な特徴があります。
クレスナプサカティルタレスタリ養魚場のインドラ氏(右)とイバン氏(左)アジアアロワナは寿命が数十年と長く、大きなものですと 1m 近くになるため、飼育するにはそれなりの覚悟が必要です。ところが適した環境と優れた飼育技術に合わせて、目を見張る優雅な容姿を表すことが分かってくると、その奥深さと面白さから需要が高まっていきました。
そんな中で、バンジャールレッドの独立性も、東南アジアを中心に認識されるようになり、現状のサイテス(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)では、学名こそ一緒ですが、アジアアロワナのみの名前では税関は通りません。必ずレッドか、ゴールデンか、グリーンか、そしてこのバンジャールレッドかの明記が必要となっているのです。
現在では、インドネシア政府からの支援もあり、手厚く保護活動もおこなわれている伝説のアジアアロワナです。
展示個体は発見個体の末裔(まつえい)で、発見者の息子であるイバン氏と直接商業取引のある老舗熱帯魚店を通じて当館に持ち込まれました。
普通は幼魚しか輸出しないところを、お正月展示のために現地に交渉していただくことで、池上げ(池の水を減らして魚を取り上げること)をおこない「馬蹄」模様の個体を入手することができました。
池上げ中の成長したバンジャールレッドたち新年は、これだけ馬に踏みつけられたとしても、へこたれないような心と体になりましょう!!
和名:アジアアロワナ バンジャールレッド
学名:Scleropages formosus
分布:カリマンタン島中部カリマンタン州
全長:展示個体 約 40cm
協力:トロピカルフィッシュ佐野