2006年07月25日
トリーター:寺沢

ケタミンが使えなくなる?


獣医業界にとっては大切な麻酔薬『ケタミン』が使えなくなるのでは、ということで今、問題が起こっています。
幻覚剤PCPとケタミンの化学構造が類似しており、WHOがケタミンを麻薬に指定しようかどうか検討しています。
現在、アメリカ、フランス、東南アジア諸国では規制薬物となっていますが、日本でも早くて今年中には一定の結論が出るようです。

ケタミンといっても、みなさんはなんのことだろうと思うかもしれませんが、実はとても身近な薬物で、イヌ、ネコなどのペットの麻酔でもよく使われています。
使い方にもよりますが、ケタミンがなくなると麻酔代が高くなるかもしれません。
このケタミンは、野生動物でも広く応用されており、吹き矢を使って筋肉中に注射します。一般的に麻酔薬では正確な体重が必要ですが、ケタミンは安全域が広く、これぐらいかなという推定体重でも問題ありません。
海の動物の麻酔は、ほとんどおこないません。なぜかというと溺れてしまうからです。
でもケタミンは安全に使えるので、水族館でも使っています。どんな動物にかというと、ウミガメです。
ウミガメは、クラゲと間違えてビニール袋などを飲み込んでしまいます。そのような時には、このケタミンで麻酔をして内視鏡で取り出します。

やはり水族館でも、ケタミンが使えなくなるのは問題です。

ウミガメウミガメ

ウミガメの浜辺

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