2006年12月09日
トリーター:植田

エルニーニョ現象とペンギン

テレビの天気予報のなどでは、今年エルニーニョ現象が起こりそうだと報じています。
エルニーニョ現象とは、太平洋の東側、ちょうど赤道付近を中心とした広い範囲で海水の表面温度が平年に比べ摂氏にして 1~数度高くなる現象のことをいいます。この現象が起こるとその付近の空気も暖められ、積乱雲が活発に発生し雨がよく降ることも観測されています。太平洋のかなり離れた海域での異常現象ですが、エルニーニョの年には、日本は、夏は冷夏に、冬だと暖冬になることが多いといわれています。
海洋生物もこの現象で暮らしに影響を受けることが多く、特にペンギンでは好ましくないことがあります。エルニーニョ現象の起こる海域近くに分布するフンボルトペンギンがそれです。
ペンギンたちは、巣をつくり産卵、子育てを海岸近くの陸でおこないます。そこに集中豪雨で多量の雨が降り注ぐと、洪水が起こり巣が破壊されるのです。海水温が上昇すると、深場からの栄養分に富んだ冷たい海水の吹き上がり(湧昇流)が抑えられ、そのためにペンギンたちが餌としている小魚の数も減ります。過去に起こったエルニーニョ現象の中でも規模が大きかった 1982~ 1983年には、おびただしい数のペンギンたちが命を落とし、フンボルトペンギンの個体総数で 65~ 75%が死滅したとの報告もあります。
今年のエルニーニョ現象がフンボルトペンギンに多大の悪影響をもたらさなければいいのですが・・・。

フンボルトペンギンフンボルトペンギン

ペンギン・アザラシ

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